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 ここには以下の15本の嘘が記録されています。

イラク、日本から偽装技術を取得か
技術者魂――プリン輸送に革命
花粉症のアザラシが人気
ジョンソン&ジョンソン 戦地に絆創膏
書籍紹介「ACCESS徹底入門」
短信
ゴンザレス、日本で攻勢
手足雑巾がけ対決、決着つく
事件簿 '03
おれおれ詐欺問題で報告書提出
懐かしの洋盤、老人福祉で活用
プロ野球、新体制の構想固まる
ヒトクローン胚作り、条件付きで認める
赤いダイヤは勇気の証
転ばない靴ひも、秋にも実用化

 


■イラク、日本から偽装技術を取得か
2003/2/7

 米CIAの調べで、イラクが核ミサイルなどの大量破壊兵器を偵察衛星から隠すため、日本の自衛隊がもつ高度な偽装技術を取得しようとしていることがわかった。この技術が活用されれば、国連による査察を妨げるとして、近くラムズフェルド国防長官が緊急来日、石破防衛庁長官に機密保持の徹底を強く求める見通しだ。

 軍事筋によれば、この偽装技術は、核ミサイルをはじめとする兵器を完全にカモフラージュできるだけでなく、材料費がほとんどかからない、毎年外観をかえることができる、などの特徴がある。米国はイラク攻撃の前に、パウエル国務長官が国連安保理で公開した以上の「決定的」な証拠写真を国際社会に示す必要があり、偽装技術の軍事的な影響は「計り知れない」(米統合参謀本部)という。

 偽装に使われる素材は雪。自衛隊では有事に備えて約50年前から雪で兵器は研究施設を覆い尽くす研究を進めており、すでに大きさ、表現力ともに世界最高の水準に達している。イラクの平地部分は平均気温が40度を超える高温地帯だが、北部の山岳地帯には雪が積もることから、年間を通して大量の偽装素材を確保することが可能だ。

 自衛隊はこれまで、地対空ミサイル、レーダーサイト、戦闘機用格納庫を雪の内部に隠した実績がある。偵察衛星から撮影しても、それぞれドラえもん、大阪城、アラレちゃんにしか見えないという。長年にわたる研究の結果、現在では至近距離から撮影しようとしたスパイが、思わずこれらの軍事施設を背景にピースサインで写真のなかに収まってしまうほどの出来栄えといわれる。

 米国防総省はイラクが偽装技術を取得するのを防ぐと同時に、イラクが技術を取得した場合に備えて、偽装された武器や軍事施設を確実に破壊するための研究を進める方針。防衛庁は北海道庁に対し、雪祭り終了後の雪像取り壊し作業に米軍が巡航ミサイルで協力すると伝えた模様だ。

 
 
 

■技術者魂――プリン輸送に革命
2003/3/3

 「田中さんの次のノーベル賞に、最も近い男」。日本のプリン業界で、沢渡大さん(61)はそう呼ばれる。ノーベル物理学賞を受賞した島津製作所の田中耕一さんが大卒なら、沢渡さんは中学を卒業以来、東日本食品エンジニアリング(株)の薄暗い研究室で一貫してプリン製造機械の開発に取り組んできた。沢渡さんの業績に、田中さんのような派手さはない。しかし、プリン工場付近の住民たちは、口を揃えてこういう。「沢渡さんの業績は、アルフレッド・ノーベルに匹敵する」

 経済産業省の推進する巨大食品製造プロジェクト。つくば市内にあるこの計画のパイロット・プラントから、高さ15メートル、底面の直径18メートルのプリンが、特殊車両に載せられてゆっくりと運び出された。道路の上には高さ15センチほどの突起が設けられており、タイヤが乗り上げるたびに車両は揺れるが、巨大プリンは安定したまま。設計通りの性能に、沢渡さんは黙ってうなずいた。

 3年前、58歳の誕生日に娘が中華街に招待してくれたことが、沢渡さんの人生とプリン工業の将来を変えた。帰りに寄った超高層ビル、ランドマークタワーに、最新鋭の減振装置が設置されていた。地震が発生したさい、巨大なおもりを動かしてビルを逆方向に動かし、揺れを相殺するしくみだ。

 「同じやり方が、プリンでも応用できるのではないか」――翌日からデータ収集と開発が始まった。寝食も忘れるほど、沢渡さんがプリン用減振装置の開発に集中した背景には、多くの尊い人命の犠牲がある。1970年代、プリン業界各社の努力が実を結び、直径15メートル以上のプリンを製造する技術は確立していた。問題は、プリンを工場から売り場、そして家庭までどう運ぶか。直径2メートル以上のプリンは少しの振動でも激しく揺れて分解してしまう。トラックの運転手や歩道の通行人がプリンの下敷きになって窒息する悲惨な事故が相次ぎ、死者・行方不明者は70年代だけで31人を数えた。いつのまにか巨大プリンは業界関係者に「ニトログリセリン」という隠語で呼ばれるようになり、やがて危険すぎるという理由で姿を消した。

 沢渡さんは、80年代にもプロジェクト・チームを率いてプリン用減振装置の開発に取り組んだことがある。このとき採用されたのは、二つの巨大プリンを並べて上からつり下げるという大胆な構造だったが、テレビ局が番組を収録していた野外プールのすぐそばで、試験輸送中のトラックが転倒事故を起こし、新聞の番組欄に「ポロリ!史上最強、13トン×2のハプニング」と紹介されてしまった。計画はお蔵入りとなり、沢渡さんのチームは解散に追い込まれた。

 それから20年。美味しいプリン、弾力性のあるプリンを製造する機器の開発では業界一の業績を残した沢渡さんだが、大型プリン輸送機械の開発失敗の悔しさは忘れられなかった。3年前、ランドマークタワーでひらめいてからは寝食を忘れて開発に取り組み、無断で屋上部分に運び込んだ巨大プリンでランドマークタワーをべとべとにするなどの失敗を繰り返しながらも、最終的には実用化が可能なレベルにこぎ着けた。

 安全な輸送が可能になったことを受け、この夏からはキングサイズのプリン出荷が始まる。コアなプリン・ファンの間では、「スコップで食べてみたい」という長年の願望をようやく実現できるとの期待が広がっている。ただし当面は容器に入ったまま。容器を反転させ皿の上にプリンを落とすのは、10トン級以上では依然として極めて危険な行為だ。周囲数キロに響く巨大な「ポタン」を夢みて、沢渡さんの新たな挑戦が始まろうとしている。  
 
 


■花粉症のアザラシが人気
2003/3/29

 秋田県立能代水族館で、花粉症のアザラシ、ウルちゃんが人気者になっている。水族館のアザラシといえば「芸達者」だったが、人間との悩みの共有が、ウルちゃんの最大の魅力のようだ。

 能代水族館のアザラシ曲芸ショーは毎日3回。ウルちゃんの先輩アザラシが器用にボールを鼻の先に乗せたり、玉乗りをしたりして歓声を浴びるのを、ウルちゃんはけだるい視線で見つめるだけ。それでも、飼育員が「今日は空気中のスギ花粉が多いので、ウルちゃんの体調は今ひとつです」と説明すると、場内は割れんばかりの拍手に包まれた。

 「同じ地球の仲間。花粉症に人間もアザラシもない」と語るのは、自らも花粉症に苦しむ信用金庫職員の有馬成見さん。最前列でカメラを構える有馬さんの席まで、くしゃみをしたウルちゃんから唾液や鼻水が飛んでくるが、全身ベトベトになるのもまた楽しい様子だ。

 能代市観光協会ではウルちゃんを観光客招致の目玉にしたい考え。駅前には「日本一のスギ林と花粉症の街にようこそ」と記された大きな看板が掲げられた。ウルちゃん名義の健康保険証も近く発行される予定だ。

 
 
 

■ジョンソン&ジョンソン 戦地に絆創膏
2003/3/29

 米国防総省は28日、医療・清潔用品大手のジョンソン・アンド・ジョンソン(J&J)と、イラク戦争の絆創膏公式サプライヤー契約を結んだと発表した。契約額は12億4000万ドル。これによりJ&Jはイラク領土内で戦うすべての米軍兵に対して独占的に絆創膏を供給することになる。

 国防総省が民間企業と公式サプライヤー契約を結ぶのは、ヒューレット・パッカード(コンピュータ)、コカ・コーラ(清涼飲料)、UPS(航空貨物)に次いで4社目となる。契約額は累計で101億ドルに達した。国防総省では今後、バーベキュー用品、アパレル、ゲームソフトなどの商品についても同様の契約を結び、最終的には1000億ドルと試算されている戦費をすべて民間企業から調達する方針だ。

 広告業界の関係者によれば、世界で15億人が見ているとも言われるイラク戦争の中継やニュース映像は、サッカーのワールドカップやオリンピック以上の「イベント」。26日、米CNNがイラクの夕陽を背景に乾いたのどをガラス瓶入りのコカコーラで癒す米海兵隊員の映像を放送した直後には、世界各国で同じ商品の売り上げが急増した。

 J&Jではイラクでの開戦を想定して、小銃に撃たれた程度の被害なら外科手術しなくても傷を治せる軍事用バンドエイドの開発を続けてきた。28日夜にはバスラ郊外の民兵掃討作戦で被弾した陸軍の歩兵が早速この絆創膏を使用、国防総省のスポークスマンは人的な被害を最小限に抑えたと効果を強調したが、カタールのテレビ局、アル・ジャジーラは現地の医師の話として、きちんと消毒しないと化膿するおそれがあると伝えており、戦況は依然として錯綜している。  
 
 


■書籍紹介「ACCESS徹底入門」
2003/4/2

 会社でパソコンを与えられ、この仕事をしなさいと上司に指示されたとする。使うソフトがWORDなら簡単、EXCELにも慣れている。しかし、ACCESSを使うのは難しい。そんな会社員が多いのではないか。

 その訳は、ソフトの基本的な性格の違いにある。WORDは、かつて年賀状作成に使ったワープロ専用機をパソコンのなかに押し込めただけ。EXCELの原理はもっと簡単で、表を作るのに使う定規と鉛筆をキーボードとマウスに置き換えたに過ぎない。一方、ACCESSを含む「リレーショナル・データベース」の仕事を、手作業でこなした経験を持つ人は皆無。この種のソフトがもつ抽象的な概念をとらえるのは難しい。

 そこで、市販のACCESS入門書の多くは、図や比喩を多用しながら、リレーショナル・データベースのしくみをわかりやすく説明しようとする。テーブル、クエリー、SQL……。だが、詳しく説明すればするほど、読者は深みにはまることになる。たとえばテーブルとはレコードとフィールドにより構成され、データを格納する「表」のことだが、レコード、フィールドとは何かという疑問がすぐに生じる。そもそも、ここでいう「データ」とは何を指す言葉なのか。

 なかには、そんな疑問を棚上げして入門書の次の章に進む人もいるだろう。が、理解があいまいなままでは、いつか壁に突き当たる。ここがWORDやEXCELとの違いだ。WORDやEXCELの場合、作業の内容を直感的にとらえやすいために、(たとえ極めて非効率的な使い方であったとしても)見た目はきれいなドキュメントやシートがプリンタからはき出される。一方、数十万件の重要なデータの処理を任されることもあるACCESSでは、中途半端な知識がいい加減なデータ構造に、いい加減なデータ構造が取り返しのつかない災難の引き金になるということだけでも、その中途半端な知識に加えておいたほうがいいだろう。

 今回紹介する『ACCESS徹底入門――二足歩行からのデータベース』は、データベースはもちろんのこと、その基礎となる情報工学、電子工学、量子力学から、電気回路の基礎、数学、論理学、さらには言語の発生、火の使用、最終的には人類が後ろ足2本だけで立ち、前足を食べ物の採取や道具の使用に使うようになった時点まで遡る、野心的な一冊だ。

 この本さえあれば、データとは何なのか、電子的にどのように情報が保存されるのか、半導体はどのようなしくみに基づいているのか、量子力学とはどんな理論なのか、その数式にはどんな意味があるのか、足し算、引き算とは突き詰めて言えばなんなのか、といった具合に、疑問の源流を遡ることができる。現代文明の多くの分野では源流をギリシャ文明までたどることが可能だが、この本の守備範囲は二足歩行開始時まで。ゆとりある設定には安心できる。

 残念ながら、いまでも四足歩行を続けている人はキーボードやマウスを自由に両手で操作できないことから、ACCESSでビジネスに役立つデータベースを構築するのは難しい。この本を読んで二足歩行がパソコンを操作するうえでどれだけ便利かを理解したうえで、後の二本足だけで移動することをお勧めする。

□書籍紹介
『ACCESS徹底入門――二足歩行からのデータベース』
ISBN4-8443-1279-3
インプレス書籍編集部編
出版社:インプレス
全2781巻 うち索引72巻
価格:\780,000,000(税別)

 
 
 

■短信
2003/4/22

国土交通省は22日、今年夏に予定していた気象衛星「ひまわり5号」の打ち上げを来年1月以降に延期すると発表した。観測用カメラのピンボケが原因。予定軌道よりも高く衛星を打ち上げてピントを合わせるのは難しく、天文学者らで作る諮問委員会も最近、地球に一歩下がってもらうのは技術的に困難との結論を出した。

* * *

童謡の主人公として有名な原始的サル、アイアイの保護区が、日本のNGOの支援でマダガスカルに設けられることになった。アイアイは森林の伐採で絶滅が危惧されている。付近の森ではキュウケツドクコウモリも絶滅に瀕していることから、NGOはかわいらしい童謡を作ってから寄付を募りたいとしている。

* * *

WHOは、香港のマンションでSARSの被害が深刻化したのは、ウイルスが突然変異で毒性を強めたためとの見方を強めている。突然変異で人間の免疫を強めて対抗することを検討、近くマンションの住民を南太平洋の核実験場に派遣する方針だ。

* * *

日本相撲協会が23日、大相撲夏場所の番付を発表した。東の正横綱は2場所目の朝青龍。西の正横綱は武蔵丸。負横綱は昭和23年の秋場所でギル・カーシュダービン男爵山が黒魔術で行司を石に変え角界を永久追放されて以来、空席が続いている。

* * *

2年連続盗塁王、阪神の赤星憲広外野手が、盗塁数に応じて福祉施設に車いすをプレゼントすると発表した。甲子園球場のバックネット裏には早速、足の不自由な人たちが陣取り、相手チームの捕手に背後から冷たい視線でプレッシャーをかけている。

* * *

三菱重工業は、政府が主導している30人乗り小型ジェット旅客機の試作プロジェクトに応募する。日本での本格的な旅客機開発はYS11以来30年ぶり。採算がとれるのは400機程度を生産してからで、国内ローカル航空路線のほか、修学旅行、茨城県から都心への通勤などの需要を開拓できるかどうかが鍵を握る。

* * *

韓国政府が、北朝鮮の咸鏡北道で長距離弾道ミサイル、テポドン2号の燃焼実験中に爆発事故が発生したと明らかにした。実験施設は大破、ミサイル開発は大きな打撃を受けた。韓国当局者は情報の根拠として、北朝鮮の工作員が、4月11日に花火工場の爆発事故があった鹿児島市との姉妹都市協定締結を画策していることを挙げている。

 
 
 

■ゴンザレス、日本で攻勢
2003/5/19

 世界のゴンザレスさんで作るゴンザレス協会が、2010年までには日本人の3%をゴンザレスにするとの目標を掲げ、攻勢を強めている。日本を足がかりに、将来は韓国、中国、インドなどアジア各国に進出する構えだ。

 ゴンザレス協会は昨年、「細かいことにくよくよしない、いつも楽観的、どんな苦境でもなんとかなるような気がする」といったゴンザレスの長所を日本の親にアピールするため、日本語のパンフレット1000万枚を印刷、市役所戸籍課の窓口に置いた。ゴンザレスとフルネームで呼ぶのがわずらわしければ、日常生活では「ゴンちゃん」「権座」など略称で呼ぶことも可能とのアドバイスも書き添えた。

 しかし、生命保険大手の日本生命が発表した今年の日本人姓名調査によれば、「ゴンザレス」と名付けられた人は男の子、女の子ともゼロ。ゴンザレス協会日本支部では、「努力が報われなかったのは残念だが、宣伝活動をさらに強化したい」と説明している。今年はプロ野球チーム1つを買収、チーム名称と選手の登録名、球場名称をすべて「ゴンザレス」で統一するなどの宣伝活動を計画しているという。

 一方、日本生命が最近発表した「子供のなりたいもの」調査では、全国3万2100人の幼児、小学生のうち、3人が「ロドリゲス」と答えた。世界的な規模で激しい抗争を繰り広げているゴンザレスとロドリゲスだが、日本人の心をつかむのはロドリゲスが一歩速かったようだ。

 
 
 

■手足雑巾がけ対決、決着つく
2003/6/12

 手を使った昔ながらの雑巾(ぞうきん)がけと、最近の家庭で増えていると言われる足による雑巾がけは、どちらが優れているのか――長期の論争に決着をつける勝負が12日、群馬県民体育館で行われた。

 「手掃除派」の代表は主婦歴18年の杉田佳代子さん。夫は警察学校で剣道場の床掃除係を25年にわたり務めており、手を使った雑巾がけは、掃除、体力増強、精神鍛練の三拍子がそろっていると信じている。これに対し、「足掃除派」の代表に選ばれたのは大学2年生の大野健さんだ。昨年の大学入学とともに地方から上京。現在フローリングのワンルーム・マンションに住んでおり、2カ月に一度の雑巾がけのさいには、意識することなく足が伸びるという。

 勝負が始まる前の関係者の予想は、「手が有利」。昔からの伝統である手を使った雑巾がけには、それなりの合理的な理由があるはずというのが根拠だった。世界的にみても、足を使った掃除の文化はほとんどない。

 ところが、号砲とともに始まった雑巾がけは、立ったまま体重を雑巾にかけることができる「足掃除派」の大野さんが終始優勢で、200平方メートルの床を18分23秒でふき終わった。「手掃除派」の杉田さんは、床に膝をつき、立ち上がりこそ快調なペースで雑巾を手で動かしていたものの、無理な姿勢がたたり次第にペースダウン。大野さんに約12分遅れの30分5秒でようやくゴールインし、腰痛のためそのまま病院に運ばれた。

 しかし、勝敗を決めるのはスピードと審査員による評価の総合点。計算の比重はそれぞれ4割、6割だ。大学家政学科の教授や生活評論家などの審査員は、「足掃除派」の大野さんを「真剣さが感じられない」「生活をなめている」などと厳しく批判。逆に「手掃除派」の杉田さんは腰痛に歪んだ苦しみの表情さえも「懸命さが伝わってくる」と高い評価を得た。総合点では杉田さんがきん差で大野さんを振り切り、雑巾がけには足よりも手のほうが適しているとの結果が出た。

 敗れた大野さんは「足掃除の良さが伝わらなかったのは残念。次回はマンガを読みながら、電話をかけながらではなく、皿回しをしながらの足掃除で真剣さをアピールしたい」と語り、早くもリベンジに燃えている。

 
 
 

■事件簿 '03
2003/6/17

 よくある事件だった。現場は世田谷区内のワンルーム・マンション。凶器はガラス製の鈍器。35歳の男性が殺され、放心状態で立ちつくしていた25歳のOLが逮捕された。犯行理由は別れ話のもつれ。事件を担当した刑事の目に唯一、奇妙に映ったのは、血に染まったチャート(図)だった。

 被害者の長沢邦彦さんは東京工業大学の講師で、トポロジー(位相幾何学)講座を担当していた。友人らの話によると、長沢さんの女性関係はかなり複雑だったが、「最先端のトポロジーに比べれば単純明快」が口癖。事実、これまでに何人もの女性と後腐れなく別れた。

 下川桃子容疑者は友人の紹介で知り合った長沢さんと急速に親しい関係になり、周囲には結婚へのあこがれもうち明けていた。しかし長沢さんに結婚の意思はなく、二人の温度差は次第に広がっていった。事件の夜、下川容疑者のマンションに現れた長沢さんは、未練と恨みが入り交じった言葉をぶつける下川容疑者を無視するかのように、ポケットから取り出したA0サイズのチャートをベッドの上に広げた。

 「実はおまえの弟とオレは……」と切り出した長沢さんがチャートに描かれた複雑な曲線のうち1本を指さした瞬間、以前から二人のただならぬ関係を察していた下川容疑者は、長沢さんが持ってきたガラス製の鈍器で、長沢さんの後頭部を殴った。

 「清算できない関係などない。おれならどんな複雑にからみあったしがらみも、きれいにすることができる」。生前、そう豪語していた長沢さんは、「仮説」を証明するために自ら複雑な状況を作ってしまったのではないかと、上司にあたる大学教授はみる。

 現場に残されたチャートには、双方の家族、友人、同僚などを含む複雑な人間関係が克明に記されていた。その数63人。肉体関係、友人関係もあれば、親の敵、現金の貸し借りといった関係もある。この複雑な別れ話をもつれさせない方法はあったのか、長沢さんが大学から持ち出したクラインの瓶がヒントなのか。すべては謎のままだ。

 
 
 

■おれおれ詐欺問題で報告書提出
2004/2/4

 国語審議会のおれおれ詐欺問題部会は1日に報告書をまとめ、警察長官に提出した。言語学的なアプローチが社会問題化しているおれおれ詐欺防止の決め手になるかどうかが注目を集めている。

 国語審議会の調査によれば、一口に「おれおれ詐欺」と言っても実際に犯人が用いる一人称はさまざま。「おれおれ」の比率は25.1%に過ぎず、ほかに「わたしわたし」詐欺(20.9%)、「わてわて」詐欺(14.6%)、「あっしあっし」詐欺(3.1%)、「おいどんおいどん」詐欺(2.1%)、「わらわわらわ」詐欺(1.4%)、「朕朕」詐欺(0.5%)など幅広いレパートリーがあり、日本語における一人称の幅広さをあらためて印象付ける結果となった。

 このほか「よっちゃんよっちゃん詐欺」「みきみき詐欺」など、犯人が本当の名前を公表して検挙されたケースも少数ながら存在した。児童心理学者などは、幼児期から自分のことを名前や愛称ではなく一人称できちんと呼べるようにしておくべきと指摘していたが、この指摘の正しさが裏付けられたかたちだ。

 また、一部の犯人は独り暮しの老人をだますため「大学教授大学教授」、「弁護士弁護士」、「皇室関係者皇室関係者」などを名乗っており、一人称と自称が混同されていることが浮き彫りになった。

 「おれおれ詐欺」は犯人逮捕が難しい上、逮捕された犯人が黙秘権を行使して裁判が長期化することが多い。警察庁では今後、国語審議会の協力を得て「きみきみ」「あんたあんた」「貴様貴様」「てめえてめえ」などの二人称を可能な限りリストアップし、犯人が反応してくれる呼びかけを早急に見つけだしたいとしている。

 
 
 

■懐かしの洋盤、老人福祉で活用
2004/2/5

 静岡県内の私営老人ホーム「ライフハウスゆうゆう」。春の到来を感じさせる暖かな陽気の下で、入居している70代、80代のお年寄りがくつろいでいる。体の不自由な人が多いが、ほおは皆ほのかに赤く染まっており、血色はいい。

 午後3時、お年寄りが楽しみにしている時間がやってきたことを示す音楽が流れてくる。1960年代の米国西海岸によく似合うギターの音色とファルセット(裏声)だ。

I'm pickin' up good vibrations
She's giving me excitations
I'm pickin' up good vibrations
She's giving me excitations
Good good good good vibrations

 マッサージチェアーに腰掛ける人、足裏マッサージ機の上に足をそろえて載せる人、ベルトで腰を支えながら体を後ろに傾ける人、電動式マッサージ棒を背中に当てる人……。お年寄りはいずれも気持ちよさそうだ。

 ヘルパーの得田文子さんは言う。「昔はお年寄りが好きだと思って演歌や浪曲をかけていました。ある日、ビーチボーイズの特集をしていたラジオからこの曲が流れてきて、お年寄りが何かに命じられたかのようにマッサージ用の道具を使い始めたんです」

 入居者の一人、山口トミさん(86)は、マッサージ棒を肩に押し当てながら震える声で「ぐっどぐっどぐっどぐっどばいぶれーしょん」と口ずさむ。

 いま、全国の老人福祉施設で音楽を用いたケアの導入が着々と進んでいる。キーワードは「1950年代、60年代のロック」。リアルタイムでこれらの音楽に触れた人が福祉施設に入居する年齢層に達したのを契機に、オールディーズの福祉分野での応用が注目を集め始めた。

 佐賀県内の特別養護老人ホーム「康陽園」。痴呆の進んだ入居者の比率が高く、ヘルパーたちにとって戦争のような日々が続いたが、ロックが平和をもたらした。

Picture yourself in a boat on a river
With tangerine trees and marmalade skies
Somebody calls you, you answer quite slowly
A girl with kaleidoscope eyes
Cellophane flowers of yellow and green
Towering over your head
Look for the girl with the sun in her eyes
And she's gone
Lucy in the sky with diamonds
Lucy in the sky with diamonds
Lucy in the sky with diamonds, ah

 ジョン・レノンとポール・マッカートニーによるこの曲の歌詞の意味は、常人には理解しがたく、LSDを服用したあとの精神世界を表現した歌とも言われている。ところが、「この歳になると全部わかるんだねぇ」と遠い空の一点を見つめながらつぶやくのは諏訪健吉さん(92)。「ルーシーだけじゃないんだよ。12年前に死んだトミも、ほら、あそこに浮かんでいるのが見えるだろ?」

 我々の精神世界に通じる歌が約40年前から存在していた。孤独じゃなかったんだ――そんな安心感が、諏訪健吉さんの毎日を穏やかなものにした。近く開かれるカラオケ大会に向け、I Am The Walrusの歌詞の意味を吟味しながらうなずく毎日が続く。

 1950年代、60年代の効果に老人福祉の専門家は注目する。が、音楽が老人に与える影響を検証しないままブームに飛びついた施設で、老人がけがをするケースが発生しているのも事実。昨年、プレスリーのまねをして腰が外れた人は全国で43人に達し、厚生労働省はDon't be cruelのCDに老人への大量投与が副作用を引き起こす危険があることを明示する文書を添付するよう、音楽業界の団体に指導した。

 富山県の老人ホーム「テケテケ園」ではその名が示す通り、1日中エレキギターの奏でる音が流れている。アップテンポの曲もあるが、老人の動きはゆったりしており、あせらずに人生の最後の日々を楽しんでいるように見える。かつては週に2〜3回は発生していた老人の転倒が、音楽の効果でほとんどなくなった。

 昨年春に入居した鈴木恵子さん(75)は長い間、中華料理屋を切り盛りしながら多忙な毎日を過ごしてきたため、老人ホーム内の遅い時間の流れが我慢できなかったが、いまでは仲間の老人と歩調を合わせるようにのんびりと毎日を過ごしている。

「歩きなさい、走っちゃダメですよ。ベンチャーズもそう教えていますからね」  
 
 


■プロ野球、新体制の構想固まる
2004/07/09

 プロ野球のオーナー会議が6日に都内で開かれ、来シーズンから巨人のみの1球団制でペナントレースを戦うことが確定的となった。巨人との試合で観客を増やしたいとするパ・リーグの各球団と、巨人との試合が減るのは受け入れられないとする巨人以外のセ・リーグ球団が歩み寄ったかたち。これにより来シーズンの巨人は、今年を上回る「史上最強打線」となる公算が強まった。

 両リーグ事務局から提出され、コミッショナー会議で了承された案によれば、来シーズンはすべての球団を「巨人」と呼び、チームの勝敗にはこだわらず、奪三振、防御率、ホームラン数など個人成績だけを競うようにする。従来の一軍、二軍だけでは他チームの選手を吸収しきれないことから、一〜十二軍として試合を行い、年間成績に応じて翌シーズンの順位を入れ替える。なお、来年の十二軍の選手寮は横浜または神戸に設けられる案が有力だ。

 この改革がドラフト制度にも大きな影響を及ぼすのは必至。逆指名の有無やくじ運のよしあしに関わらず、巨人に入団することは確定的であるため、ドラフト会議直後の記者会見では、有望選手が軒並みガッツポーズを見せることになりそう。「元巨人」を名乗れるようになる解説者も、この決定を軒並み歓迎している。

 テレビ局各社も統合に賛成している。かつては20%以上が確実だった巨人戦のナイターの視聴率も、最近では10%台に低迷。1球団制の導入で、東京ドームの巨人対巨人、甲子園球場の巨人対巨人、福岡ドームの巨人対巨人の3試合だけでも、合計視聴率20%以上は確実との見方で関係者は一致している。

 阪神、西武、ダイエーなど人気球団のファンも、来年からは巨人ファンに組み入れられる。一方、アンチ阪神、アンチ西武、アンチダイエーなどが、すんなりとアンチ巨人への変身を受け入れるかどうかは不透明な情勢だ。

 
 

■ヒトクローン胚作り、条件付きで認める
2004/07/14

 総合生命科学技術会議の生命倫理専門調査会は13日にまとめた最終報告書のなかで、ヒトのクローン胚作りを条件付きで認めた。これにより日本もヒトクローン胚を用いた基礎研究や治療に向けて一歩踏み出すことになる。

 報告書はクローン人間の誕生につながる研究目的、営利目的のクローン胚作りを、生命倫理の観点から妥当性に疑問が残るとして今後も禁止するよう強く求める一方で、個人として楽しむ場合に限って解禁するべきと結論づけている。テレビ番組を録画して放送終了後に楽しむことは事実上解禁されているのに、人間の胚だけを特別視するのは、法の下の平等の原則からみて不適切というのがその理由だ。

 同じ論理から、将来は研究目的のクローン人間作りが禁止される一方で、個人として楽しむための趣味のクローン人間は解禁される公算が大きい。盆栽やランの栽培などの趣味と同じ気軽さで、精魂込めて「自分」を作る時代が到来しそうだ。

 現時点でクローン胚作りに関する技術が完全に確立したわけではないが、近い将来、一般大衆にも使用可能なキットが開発される可能性もある。爆発的なクローン人間の増殖につながり、普通の生殖を経て生まれる人間の権益が阻害されるとの懸念から、専門家の間では未然に遺伝子にコピーガード情報を盛り込んでおくべきだとの声も出ている。

 
 

■赤いダイヤは勇気の証
2004/07/17

 東京都港区。幹線道路に面した自動車のショールームでは、日曜日だというのに冷やかしの客さえほとんど来ない。今日は早めにシャッターを下ろしても、だれにも文句を言われないな、と若手社員が心のなかでつぶやいた瞬間、この日初めての客がやってきた。

「赤がいいかな。いや、銀だな。うん、銀にしよう」

 山口尚也さんは28歳の建設作業員。18歳で初めて中古で自動車を手に入れて以来、同じメーカーの車を乗り継いできた。昨今の欠陥やリコール隠しをめぐる騒ぎは、もちろん聞いている。が、いまさらほかのメーカーの車に乗る気はさらさらない。

 山口さんが購入を即決したのはコルト。周りを取り囲んだセールスマンのなかには、もう永遠に売れないかもしれないという不安のなか、思いがけなく舞い込んだ注文に涙ぐんでいる人もいる。

 数日後、山口さんが車を取りに来た。キーを受け取り車に乗り込む。ディーラーの裏側にある出口から、左右を確認して車道に出ようとした瞬間、大柄な白人男性が両手を広げて道をふさいだ。

 怪訝な顔で窓をおろした山口さんに、外人は話しかけた。

"Do you wanna be a stunt man?"

 この外人は、ハリウッドでスタントマンの事務所を経営するビル・マットソンさん。はるばる日本まで新人スタントマンをスカウトに来た理由について、彼はこう語った。

"I've been looking for a REAL samurai. He is the one."

* * *

 富山県内にある別のディーラーでは、カタログを広げて商品の魅力を説明するはずのテーブルの上で、セールスマンが新聞を読み、眉間にしわを寄せている。

「国交省、三菱ふそう社長に厳重注意」

 三菱ふそう、そしてその親会社である三菱自動車が、深刻な販売不振にあえいでいる。欠陥隠しを伝える大きな見出しが連日、紙面を飾る現状では、どんなに優秀なセールスマンもお手上げだ。25年間にわたり三菱車だけを売ってきた男性社員は「大学を卒業した娘に、うちの車を勧めたかったんだけど」と苦笑する。

 しかし、そんな三菱車を買う人が、少数だが、いる。

 1546台――今年6月のコルトの販売台数だ。昨年同期比を約6割下回り、社運をかけた主力車種としてはとても十分な数字とはいえない。それでも、足元から崩壊した三菱車の信頼性を考えれば、1546台も売れたのは驚異的といえるだろう。普通ならこの時期、三菱車は買わない。言い換えれば、普通でない人が、1546人のユーザーのなかにちらばっている……。

* * *

 群馬県の峠道。週末の深夜になると、県内はもちろん、関東一円、遠くは関西方面からも多くの車が集結する。彼らが競うのは曲がりくねった道を、どれだけ速く駆け抜けることができるか。勝つために必要なのは優れた性能の車、高度なドライビングテクニック、そして――これが最も重要なのだが――死を恐れない度胸だ。

 星空の下、低く力強い排気音が次第に大きくなる。森にさえぎられた暗闇から、ヘッドライトの光が伸びる。その直後に猛スピードで視界に現れたのは2台のスポーツカー。車体をガードレールぎりぎりのところまで寄せながら、コーナーを駆け抜けていく。そんなシーンが毎晩、何度も繰り返された。少しでもコントロールを誤れば、運が良くてガードレールに接触、運が悪ければ谷底が待っている。

 かつて、この峠道では数々のヒーローが生まれた。極限までブレーキを踏まない男や、ガードレールに数センチ単位まで寄った男が伝説になった。彼らのうちあるものは結婚して子どもができたとたんに死が恐ろしくなり、そしてあるものは大けがをして峠を去っていった。谷底に転落して二度と生きては戻らなかったものも、一人や二人ではない。

 この夏、峠の様子が変わった。コーナーを攻めるのは1台のコルトだけ。攻めるといっても、ドリフトするでもなく、急加速するでもなく、ひたすら制限速度を守り、ガードレールとの間に十分な間隔を保ったままコーナーを通過していく。

 テールランプの赤い光をみつめる道端のギャラリーからは、羨望とも畏怖ともつかないため息がこぼれる。

「あ、あれが伝説のコルトか。まともじゃねえ……」

 何の前触れもなく峠に現れたこの黄色い乗用車が、走り屋たちの尺度を一夜にして根底から覆した。いま尊敬を集めるのは、「速いやつ」ではなく、プロペラシャフトやタイヤが脱落するリスクを省みずに三菱車に乗る、命知らずのドライバーだけだ。

 夏の虫の音にかき消されそうな押し殺した声で、こんな会話も交わされていた。

「中古車業者に持ち込んだら、安く買い叩かれるらしいぞ」
「し、信じられねえ。オレにはとても乗りこなせねえ」

* * *

 田上紀夫さんは腕を組んで考えていた。

 ――やはり、こうするしかないのではないか。自分の勇気を証明するためには、ほかに方法はないのではないか。

 田上さんは過去にも数年ごとに、自らの度胸を試すために命をかけてきた。周囲の誰もが、田上さんが失敗やけがはもちろん、命を落とすことさえも恐れない勇気の持ち主であることを認めている。しかし、田上さんはひとつの思いにさいなまれていた。

 ――これまで自分が続けてきた挑戦は、じつはまやかしに過ぎなかったのではないか。神様も、実はお喜びではないのではないか。

 コルトを買うこと自体には、家族や友人は反対しなかった。ただ、それは車道を普通に走ればの話。田上さんがあるアイディアを明かすと、誰もが「いくらなんでもそれは無茶だ」と制止した。

 ――たしかに死ぬ可能性はある。途中で車になにが起きるかわからない。危険は承知の上だ。しかしこの挑戦で、私は本当の勇者として歴史に名を刻むことができる。諏訪大明神もきっと喜んでくださるに違いない。

 長い自問自答の末、田上さんは明確な答えに至った。御柱ではなくコルトの運転席に座った田上さんは、エンジンをかけ、急斜面に向けて車をスタートさせた。

 
 

■転ばない靴ひも、秋にも実用化
2004/08/10

 靴メーカーの月星化成が、転ばない靴ひもの開発に成功したと発表した。安全性実証のための試験も終了し、今年の秋にはこの靴ひもを装備した新商品が店頭に並ぶ見通しだ。

 同社基礎技術開発センター主査の片平和裕氏は「靴のデザインが過去100年間にわたり進歩した結果、靴はひもを穴に通しておくだけで脱げなくなっている。いま、靴ひもをしばる理由は、放っておくと転んでしまうから」と語る。「逆に、転ばない靴ひもなら、結ぶ必要はないはず」

 開発は3年前の秋、素材の選択から始まった。研究員が探したのは、片方の靴からだらしなく伸びてもう一方の靴底に踏まれても、引っ張られるとスルリと抜ける摩擦抵抗の極めて低い素材。数百種類の候補から、繊維の表面にテフロン加工をほどこしたひもに白羽の矢が立った。

 昨年の夏以降、月星化成のテスト歩行者が、都内のアスファルト上、千葉県の九十九里浜、北海道の雪原、鳥取砂丘などで、過酷な条件のもと試験を繰り返したが、これまで転倒者はゼロ。靴ひもをほどいたまま山寺の長い石段を駆け下りる危険な実験にもパスし、安全性が実証された。

 日本総合研究所の山本美智子上級研究員によれば、日本人は毎日、靴ひもをしばったりほどいたりするのに、のべ822万分もの時間を費やしており、転ばない靴ひもの開発でこの時間をレジャーや飲食にあてる人が増えると期待されている。

 転ばない靴ひもの開発について、靴ひもをしばらない人でつくる市民団体「日本靴ひも解放戦線」の平岡悟朗代表は、「危険性がなくなった意味で、靴ひもをしばらずに歩く行為が社会の窓を開けたまま歩く行為に初めて肩を並べた。高く評価したい」とコメントしている。

 
 

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