■「畳の上で死のう」キャンペーンを展開
2002/07/19
日本畳工業連合会が、「畳の上で死のう」キャンペーンを展開している。かつて「死の晴れ舞台」と呼ばれた畳の地位を回復するのが狙い。死のあり方をめぐる論議にも一石を投じそうだ。
厚生労働省の調べによれば、昨年、畳の上(畳の上の布団の上含む)で死亡した日本人はわずか340人。そのうちの半分以上が柔道、茶道、百人一首練習中の死亡事故だった。畳の上で家族に看取られながら死ぬのが普通とされていた昭和初期からまだ80年も経っていないのに、日本人の臨終の風景は大きく様変わりしたようだ。
その最大の理由は、科学の進歩。医師や家族はあらゆる技術や装置を用いて患者を救おうとする。患者本人の最後の希望を聞き入れる余裕はない。幸運な患者は帰宅して死を迎えることができるが、いまでは和室がない家が多い。日本医師会の調査によれば、昨年までの5年間に死亡した人の最後の言葉のうち、最も多かったのが「(家族を)よろしく頼む」、2番目が「幸せな人生だった」、3番目が「なんでフローリング?」だった。
このような状況に、長い間有効な対策を打ち出せずにいた畳業界を変えたのは、新潟県新発田市の女性、宇良クメさん(当時92歳)から畳職人の山田寛一さんに寄せられた1通の手紙だった。
「畳の上で死にたいのですが、がんのため入院中で、家には帰らせてもらえそうにありません。どうか病院に畳を持ってきて下さらないでしょうか」
そのクメさんが奇跡的に回復し、一時は自転車に乗れるほど元気になったものの、山田さんが5年後に介護用畳をプレゼントした直後に大往生したという記事が新聞紙に掲載され、感動の輪が全国に広がった。日本畳工業連合会の強い働きかけで、全国の主要な病院には終末期医療用の和室が用意され、医師や家族も患者の最後の望みを聞くようになった。
一方、業界挙げての努力の結果、野外で事故にあった人にとっても、畳の上で死ぬことは夢物語ではなくなっている。全日本F3シリーズに参戦しているレーサーの川崎良和さん(トヨタ)は、第1〜3戦こそ予選落ちが続いたものの、シートに畳表を貼り付けたところ、第4戦は決勝で3位に、第5戦では2位に入った。川崎さんは「恐怖心が消え、コーナーでブレーキを踏むタイミングを1秒遅らせることができるようになった」と、畳表の効果に大喜び。第6戦ではコーナーの先にあるフェンスにも畳表を貼り付けて、初の優勝を狙うと意欲を見せる。
しかし、畳業界の一部には、国産畳に使用される材料の多くが海外から輸入されているいま、畳の上で死ぬ人が増えたとしても、日本人が死の原風景を取り戻したことにはならないとの冷ややかな見方もある。実際、財務省関税局長の夢枕には毎晩のように畳の上で死亡した日本人の霊がキョンシー姿で立ち、中国産いぐさに対するセーフガード措置の強化を強く要請しているという。
■JR東日本、駆け込み乗車対策を見直し
2002/07/22
JR東日本は8月から山手線、京浜東北線などで、駆け込み乗車専用の車両を用意することを決めた。駆け込み乗車をやめるよう呼びかける従来の方法では効果に限界があると判断。積極的に駆け込みの欲求を満たすことで、ダイヤに及ぼす悪影響を防ぐことにした。
駆け込み乗車専用列車は、各編成の中央にある1両とする。ホーム下の通路には特別ゲートを設置。列車が発車する10秒前にゲートを開く。走って階段を上っても、乗れるかどうかは微妙なタイミングだ。通常の車両については従来通り、乗客の安全が確認されるまで発車しないが、専用車両では体の一部だけでも車内に入っていればセーフとみなす。専用車両のみ走行中にドアを開くことは技術的に可能だという。
国土交通省の調べによれば、駆け込み乗車が原因で発生する列車の遅れは首都圏だけで毎日のべ400分以上に達する。駅構内の放送で次の電車を待つよう呼びかけるだけの鉄道各社の消極的な対応に、ほかの乗客は不満を募らせていた。
JR東日本は昨年1月、社内に駆け込み乗車問題対策班を設置。頻繁に駆け込み乗車している180人の男女の生活状況や精神状態について調査を行った。その結果、ほとんどの人が朝ぎりぎりの時間まで寝ていて、銀行に行くのはいつも閉店間際、空港では名前を呼ばれるまで土産物を探していることがわかった。心理分析では、精神科医がロールシャハ・テスト用の本を閉じる寸前に慌てて自分の考えを明らかにする人がほとんどだった。JR東日本では調査結果をもとに、駆け込み乗車は本能に根ざした衝動的な行動であり、指導や規制で治る可能性は低いと判断したという。
JR東日本や私鉄各社はすでに、痴漢防止を目的にとくに混雑の激しい路線で女性専用車両を走らせている。駆け込み乗車専用車両の設定も、特殊なニーズに合わせた柔軟な対応として鉄道業界の注目を集めそう。今後は、日本ダンプカー連合会が衝動的なドライバーのために要求している立ち往生専用踏切の設置に、鉄道各社がどう対応するかが焦点になりそうだ。
■警視庁、マネタリストから事情聴取へ
2002/07/23
警視庁少年防犯課は近く、捜査員を米国に派遣、著名な経済学者で1976年のノーベル経済学賞受賞者、ミルトン・フリードマン氏から事情聴取する方針を固めた。フリードマン氏らが提唱したマネタリズムが少女の援助交際の理論的な柱になっていることに注目した。今後、フリードマン氏をはじめとするマネタリストが児童買春・児童ポルノ禁止法違反で摘発される可能性も出てきた。
警察庁が昨年まとめた「少年少女非行白書」は、援助交際の背景に少女たちに蔓延した「貨幣万能主義」があると指摘している。幸せになるためには友情や純粋な愛情、努力や知識よりも、貨幣そのものが大切という思想だ。夜の盛り場で警察に補導された少女の多くは、少女向けのマンガ雑誌、ファッション雑誌のほか、フリードマン氏の著書『貨幣的安定を求めて』をカバンの中に入れていたという。
警察庁は文部科学省とともに、援助交際にはしる少女の撲滅を目指す国家事業を計画中だが、ほとんどの少女は無関心。公的セクターの市場経済への介入は逆に不安定要因になるため、マネーサプライの増加率を安定させるほうが望ましいというマネタリストの主張に強く影響されたらしい。また、昭和初期、マネーサプライに合わせて料金を変動させ、両者の比率を一定に保ったといわれる古典的売春婦(通称、マアシヤルのk子)が、なおも多くの少女の共感を集めているとの指摘もある。
従来、援助交際の取り締まりは、主に客となる男性の検挙が中心だったが、最近では法曹界や教育界から、供給側である少女のほうにこそ問題があるとの声が強まっていた。マネタリスト経済学者の責任追及を契機に、警察はサプライサイドを重視した取り締まりを一段と強化することになりそうだ。
■三井物産、天気予報事業に参入
2002/07/25
総合商社の三井物産が天気予報事業に新規参入した。気象庁や既存の民間天気予測業者を圧倒する情報収集力を活かし、驚異的な的中率をマークしているものの、正確すぎる数字がさまざまな憶測を呼んでいる。
三井物産が5月末に発表した6月の東京の降水量予測値は151ミリ。気象庁が同じ時期に発表した予報では160〜170ミリだった。実際の降水量は151.5ミリで、三井物産の「圧勝」に終わった。気象庁のベテラン予報官は「三井の予測があたったのはまぐれ」と強調するが、民間天気予測業者の間では、0.5ミリは故意に残された誤差との見方が支配的だ。
日本の総合商社はいずれも穀物・食料部門を抱えており、その収益は世界の天候に左右される。別の総合商社の重役は、穀物産地の天候は、気象庁と同じレベルで予想できると語る。しかし、三井物産の予測は異常なほど正確だった。今年の春ごろ、都内にある三井物産本社ビルの屋上で歌あり踊りありの宴が繰り広げられ、若手女子社員が生け贄として捧げられたとの目撃証言もあり、三井物産が天の神に不当な利益供与を行い、天気情報を事前に入手していたとの疑惑も浮上している。
日本全体でみた7月前半の天気予報的中率は、気象庁の的中率が84%だったのに対し、三井物産は100%だった。漁民や農民からは、気象庁よりも信頼できると三井物産を高く評価する声が上がっているが、清水慎次郎社長は「社内調査で不正は認められなかった。近く予報は外れるのではないか。いやなんとか外れてもらいたい」などと語っている。
■米軍、健康への取り組みを強化
2002/07/29
暗闇で点滅する光の点。光が強くなるとともに、音が大きくなる。目で見て飛行機とわかるころには、耳をふさぎたくなるほどの轟音に街が包まれる。こんな状況が朝まで何度も繰り返される。米海軍厚木基地周辺の住民たちを苦しめている夜間発着訓練だ。
厚木で生まれ育った河野良平さん(64歳)は、頭痛、手足の痛み、慢性的な吐き気など、さまざまな問題を体に抱える。「朝までぐっすり眠ることができれば、健康を取り戻せると思う」と、河野さんは屋根をかすめるように飛んでいく米軍機を恨めしそうに見上げる。
「頭痛、寝不足、慢性的な吐き気はもちろん、消化不良、食欲不振、寝汗、ノイローゼなどの問題を一掃できるだろう」
米海軍のラルフ・クロスフォード中将が、F-18-の初飛行記念セレモニーのなかで自信たっぷりに述べた言葉だ。F-18-は米海軍が40億ドルを投じて開発したマイナスイオン発生機能付きの戦闘機。1回離着陸するたびに、4000世帯をマイナスイオンで満たすことができる。厚木基地周辺地域の平均寿命が日本一になる日も近いはずと、米海軍の関係者は語る。3年後にはイオン発生能力を従来比2倍に高めたF-182-も実戦配備される予定だ。
静岡県の東富士演習場では、米軍が6月以降、訓練で発射する砲弾のうち3分の1をマイナスイオン弾に変更した。騒音による牛乳生産量の減少を懸念していた周辺の酪農家は、マイナスイオンの効果で牛がすっかり健やかになり、良質な牛乳が大量にとれるようになったと喜んでいる。近く、演習場付近で集会を開き、「米軍は帰れと要求する左翼系市民グループは帰れ」とシュプレヒコールを上げる計画だ。JA静岡では、健康に敏感な消費者に照準を合わせ、マイナスイオン農産品を迷彩色の統一パッケージで販売することを検討しているという。
20年以上にわたる戦争に続き、米軍のアルカイダ掃討作戦でさらに深い痛手を負ったアフガニスタンはいま、着々と復興の道を歩んでいる。寸断された道路網、多発する犯罪など解決すべき課題は山積みだが、人々の目は活気を取り戻した。国際社会の合意に基づき、B52爆撃機が連日、マイナスイオン爆弾の雨をアフガン全土に降らせた結果だ。地雷を踏んで片足を失った人々も、いまや松葉杖を捨てて元気に野山を駆け回っている。
機関銃を肩からぶら下げた15歳の少年は目を輝かせる。「私は生まれつきひ弱で、内戦のために充分な治療も受けられなかった。しかし、神の助けとマイナスイオンにおかげでやっと幸せをつかんだ。これで、敵対する部族を皆殺しにできる」
■岐阜農工大付野球部を世界生き地獄に認定
2002/08/01
国際連合教育科学文化機関(UNESCO)の世界生き地獄認定委員会は31日に開いた理事会で、岐阜農工大付属高校野球部から申請されていた生き地獄認定を了承した。岐阜県内での生き地獄認定は初めて。国内ではJR埼京線赤羽―池袋間、プロ野球横浜ベイスターズに続き、3件目となる。
世界生き地獄認定委員会は、今回の生き地獄認定の理由について、炎天下でのグランドウサギ跳び15周、三千本ノックなどの過酷な練習で部員25人のうち3分の2以上が血ヘドを吐いたことを挙げている。今年6月に監督が飲酒運転で人身事故を起こし、甲子園出場の道を断たれたことも高く評価されたようだ。
世界生き地獄は、公共心が急速に失われつつある先進各国を中心に、道徳教育のためには地獄の存在が不可欠との見方が教育界で強まっていることに対応し、UNESCOが3年前から認定しており、これまでにニューヨーク(犯罪多発地区)、バングラデシュ(水害多発地区)、北朝鮮(全域)などが選ばれている。
各務原市内にある岐阜農工大付属高校には1日朝、世界生き地獄認定の知らせがUNESCOから電話で伝えられた。この日の生活指導では早速教師が女子生徒の濃い化粧に対し「野球部に入れるぞ」と警告。この生徒はすぐに素顔に戻った。各務原市内では、信号無視や万引き、ゴミの違法投棄が激減するなどの顕著な効果が表れているという。
■恐竜の心の悩み探る――大恐竜博
2002/08/01
「食べて、食べて、また食べる。1日に食べる葉の量は1日に2〜3トン。人間ならすぐ入院を命じられる危険な状態だった」
恐竜博が開催中の幕張メッセで、ブラキオサウルスの巨大な骨の化石をバックに解説するのは精神科医の久佐野香さん。心理学や精神医学の角度から恐竜の秘密に迫る研究者グループの一員だ。
これまでの恐竜研究では、土の中から掘り起こされた骨の化石を手がかりに、恐竜の物理的な生態を想像することがすべてだった。恐竜学者によれば、ブラキオサウルスが巨大な草食動物になったのは「そうすることで淘汰を免れたから」。恐竜の心の悩みが省みられることは全くなかった。
「食べている間は不安を忘れられる。それが、ブラキオサウルスがひたすら食べ続けて巨大化した理由なのではないか」と、数多くの巨食症患者を診察した経験をもつ久佐野さんはみる。
新しいアプローチは、ほかの恐竜の研究にも応用されている。地上最強の肉食動物といわれてきたティラノサウルスは、他の恐竜を食べるためではなく、傷つけるためだけに鋭い牙を手に入れたのではないか――最近、学界を騒然とさせた新説だ。
「ティラノサウルスの鋭い歯が、肉を食べるのに適していたとは思えない。むしろ、飛び出しナイフのように、周囲の生物を手当たり次第に傷つけるのが、この恐竜の生きる目的だったのではないか」(英シェフィールド犯罪心理学センター、ヘンリー・クローゼフォード主任研究員)
恐怖を感じている人が、自分を防衛しようとするあまり、逆に周囲を傷つけてしまうことは人間社会でもよくあること。クローゼフォードさんは、恐竜の社会でも全く同じことが発生したと断言する。問題は、ブラキオサウルスやティラノサウルスが、いったいどんな不安にさいなまれていたかということだ。
中国国立古代生物研究院の陳新教授によれば、答えは突然の恐竜絶滅に隠されている。地球上の生態系で王者として君臨していた恐竜は、白亜紀のある時期に突如として滅亡した。その理由は長い間謎だったが、最近では巨大隕石の地球衝突で地球規模で気候が急変し、食物が激減したとの説が広く信じられるようになっている。
「恐竜は鋭い動物の勘で、巨大隕石衝突が近いことを本能的に感じ取っていたはず。ブラキオサウルスとティラノサウルスは、滅亡から逃れられない状況で、ぞれぞれヤケ食い、マジギレ状態に陥ったのではないか」(陳さん)
この自暴自棄説は、長年、恐竜の専門家を悩ませてきたステゴサウルスにまつわる謎の答にもなる。ステゴサウルスの背中にはなぜ、不格好な盾状の板が並んでいたのか。それは、世紀末にも似た状況のなかで、常識的とされるスタイルにあえて反抗したステゴサウルスの強烈な自己主張だったのだ。
久佐野さんの説明を聞いたり、自暴自棄説を本で読んだりした若者のなかには、これまで大昔の「怪獣」だとばかり思っていた恐竜に、共感を覚えるようになった人が少なくない。
「今日もラーメンを5杯食べてから恐竜博を見に来た。空腹だけが理由だと思っていたけれど、ブラキオサウルスの化石を見た瞬間、満たしたかったのは胃袋じゃなく、落ち着かない気持ちだったと気づいた」(東京都江東区の高校生、大泉真子さん)
「誰かを刺しても傷つけても、言いようのないこの焦りをどうすることもできない。親も友だちも先生も、オレの気持ちをわかってくれない。ティラノサウルスも、きっと寂しかったんだと思う」(山梨県甲府市の無職、相沢大さん)
「校則に縛られるのは大きらい。モヒカンにしたとたん、周囲に注目されるようになったのでうれしい。人間なんて、いつ死ぬかわからないんだし、ステゴサウルスみたいに、自分の好きな格好で死にたい」(群馬県前橋市の中学生、夏木孝司さん)
恐竜博の会場で、数千万年という時の流れを隔てて、青少年と恐竜の心が結ばれた。絶滅前夜の恐竜と同様、大泉さん、相沢さん、夏木さんも、口にこそ出さないが、小惑星や彗星が、いまでも地球の公転軌道をしばしば横切っていることを薄々感じているのかもしれない。
■住基ネット参加拒否で町おこし
2002/08/05
住民基本台帳ネットワークが5日に稼働したことを受け、かねてから同ネットに参加しない方針を表明していた福島県矢祭町が「F県Y町」への改称を発表した。今後は「日本一プライバシーに敏感な地方自治体」を看板に町おこしを推し進める考えだ。
この日からY町役場では、匿名のままで住民登録ができるようになった。朝早くから年齢不詳、住所不定の人が町役場前で長い行列を作り、「中肉中背」「アジア系の外国人」「黒っぽいジャンパーを着て、南に向けて逃走した」などの特徴だけを書き込んだ書類を窓口に提出していた。
10日には改称を記念して、「プライバシーを守る句会」が開催される予定。パンティーストッキングを頭からかぶった俳人たちが、新聞や雑誌の文字の切り抜きと、のり、はさみを使って詠み人知らずの技を競うことにしている。
町役場に近い消息筋(旧根本良一町長)は、「住基ネットは個人情報が広く漏えいする可能性を含んでおり、到底参加できない。今後も個人のプライバシーを守るため最大限の努力を尽くしたい」と語っている(音声は変えてあります)。
■takahashiウイルスの被害広がる
2002/08/08
takahashiと呼ばれる新種のコンピュータ・ウイルスが猛威をふるっている。感染したパソコンは世界中で2000万台以上(推定)。大部分が、本の貸し借りをめぐるトラブルに巻き込まれたかたちだ。
takahashiはメールソフトのセキュリティーホールを悪用。ウイルスメールを受信したパソコンから、ユーザーが気づかないうちに、受信箱や送信箱にあるアドレスを読みとり、これらのアドレスに大量のウイルスメールを送信する。ファイルを削除したり、パソコンを起動不能にするなどの悪さはしないが、ウイルス本体のほか、以下の内容の「高橋君へ.txt」が添付されている。
「高橋君、ボクの本棚から持っていった『ドカベン』の4巻、早く返してくれないかな。高橋君が突然転校してから25年。どんなに探しても住所や電話番号はわからなかったけど、キミがいま、この文章を読んでいるのはわかっている。ボクはいまでも同じ住所に住んでいるから、すぐに返してくれ。2002年7月末までに返してくれなかったら、秘密をばらすぞ」
ワクチンソフトのメーカー、トレンドマイクロ社では、「高橋君」のかつての同級生は、「高橋君」がマンガを借りたまま転校して音信不通になり、連絡の手段がないことからウイルスを作ってばらまいたと分析している。
コンピュータ・セキュリティの専門家の多くは、「高橋君」がまだ『ドカベン』第4巻を持ち主に返却していないとみる。8月に入ってから、takahashi-bと呼ばれる新種のウイルスに感染するパソコンが急増しているからだ。添付されているtakahashi-b.txtにもまた、「高橋君」向けと思われる警告が記録されている。
「あこがれていたユミちゃんに勇気をふりしぼって告白したのに、『アンタって○○○○がすっごく○○っ○だからキライ』と言われて大泣きした高橋君、ボクの本棚から持っていった『ドカベン』の4巻、早く返してくれないかな。ボクはいまでも同じ住所に住んでいる。2002年8月末までに返してくれなかったら、『○○○○がすっごく○○っ○』を次のウイルスに添付してばらすぞ」
トレンドマイクロ社ではtakahashi-b.txtの内容から、ウイルスの作者が「高橋君」の告白と失恋の一部始終を、廊下で密かに聞いていたとの見方を強めている。同社によれば、takahashiおよびtakahashi-bに対するワクチンソフトの開発はすでに完了しているが、世界で2000万人(推定)の要望を受け入れ、次のウイルス(仮称takahashi-whose-XXXX-is-very-XXxX)が流行するまで公開は見合わせるという。
■バファリンに新タイプを追加
2002/08/12
ライオン株式会社は12日、新しい鎮痛薬「バファリン・キーン」を発表した。猛暑のなかこめかみの痛みに苦しむ人には朗報となりそうだ。
ライオンの調べによれば、日本の夏の頭痛の原因は32%が風邪、28%がストレス、25%がかき氷となっている。風邪やストレスについては対策が進んでいるが、これまでかき氷を食べたときにこめかみに走る「キーン」という痛みは野放し状態だった。
「バファリン・キーン」は頭痛薬としては珍しい液状タイプで、かき氷を作ったあとで皿の上からかけて服用することができる。成分は通常のバファリンと同じアセチルサリチル酸、無水カフェインなど。フレーバーはストロベリー、メロン、抹茶の3種類となっている。
一方、東洋医学の関係者もかき氷型頭痛の治療法の研究を進めており、近くかき氷の上でもぐさを燃やす新しいタイプのお灸のテストが始まる見通しだ。頭痛という抑制要因がなくなれば日本のかき氷需要が1日、1人あたり4〜5キログラムまで高まり、頭痛薬に続いて胃腸薬、こたつ、どてら、サウナなどの新たな需要が発生するとの期待が、幅広い業界で高まっている。
■陸生化を車輪で促進
2002/08/14
千葉県内のとある工業団地。大型トラックが行き交う道路で、今年の春ごろから猛スピードで疾走する灰色の塊が目撃されるようになった。ある運転手はサイドミラーをのぞいたとき、夢でも見ているのかと思ったという。トラックを猛スピードで追い抜き、瞬く間に見えなくなったのは、イルカの群れだった。
「イルカを守る千葉県民のネットワーク」代表、松木真美さんは語る。
「彼らの先祖は陸地を捨てて海に新天地を求めました。その子孫が海を捨てて陸に帰ろうとしたとき、無理矢理海に戻すのはあまりに無責任です」
今年の2月、九十九里浜に6匹のイルカが打ち上げているのが発見された。松木さんは地元の漁師たちが弱ったイルカを海に押し戻すことを阻止、仲間とともに自転車を改造して専用の四輪車を6台作り、1台に1匹ずつイルカを乗せた。おびれでペダルを動かし、胸びれで方向を変えて、自力で移動できるしくみにした。最初はとまどっていたイルカたちも、ほうびに小魚を与えるとすぐに運転を覚えた。
それ以来、松木さんらの助けを得て千葉県に上陸したイルカは145匹を数える。猛スピードで疾走したり、派手な宙返りやジャンプをするイルカの群れが県内各地で目撃されるようになった。東京水産大学の研究グループが超音波マイクでイルカの声を録音して周波数を下げたところ、「パラパラパ パラパラパ パラパラパ」と叫んでいたことが判明。関東暴走聯合型と呼ばれる発声パターンから、すでに陸上生活に高度に順応していることが確かめられた。
しかし、スピードを出し過ぎてカーブを曲がりきれず、歩道、中央分離帯、ガードレールに乗り上げて走行不能になるイルカも後を絶たない。松木さんは「頭がいいとは言われるが、所詮はこれが限界。静かに見守ってあげるしかないでしょう」と半ばあきらめ顔だ。
■復権 水中バレエ
2002/08/24
「ほら、足を大きく動かして。だめだめ、もっと我慢しなきゃ。まだたった5分しか経ってないじゃない。10分以上はねばらないと」
水槽の外で池野浪子コーチの鋭い声が響く。スピーカーを通じて水の中で指導を受けているのは、Jリーグ・清水エスパルズの若手選手たちだ。15分の練習を終えて水の外に出た選手たちは、まるで何時間もしごかれたようにぐったりとしている。
なぜ、水の中でなければならないのか――。
「1万人以上を収容できる世界のサッカースタジアムのうち、2020年には20%、2040年には50%、2060年には70%で、ピッチの高さが海面を下回る」。
昨年、国際サッカー連盟(FIFA)がまとめたレポート「海面上昇がサッカーに与える影響」が鳴らした警鐘だ。Jリーグ事務局も、今後5年から10年はスタジアムの防水加工で対応できるが、いつかはピッチ水没という現実に直面しなければならなくなると指摘する。
港町に本拠を置く清水エスパルズは、いち早く海面上昇の影響に注目。昨年、北極と南極に派遣した視察団から、氷山が猛烈な勢いで融解しているとの報告が寄せられたことに衝撃を受け、他のチームに先駆けて水中練習をメニューに取り入れることにした。
サッカーの強豪国がひしめく欧州や南米にも、水中サッカーの経験はない。しかし日本には水中バレエの残した「遺産」がある。池野さんは1960年に「池野水中バレエ団」を結成、1995年に解散するまで、神奈川県内の遊園地に設けられた専用の水槽劇場で公演を続けてきた。
池野さんが水中コーチ就任の条件に挙げたのは、鮮やかなピンクや水色、紫色の長い「ひれ」のついた衣装を選手たちに着せること。水中は視界が効かないため、目立つユニフォームでなければ危険すぎるというのがその理由だった。予想もしなかった要求に、エスパルズ側は陸の上との違いを改めて認識したという。
サッカーの練習が終わった直後、ウミガメ風の特殊ウェアを身にまとったプロゴルファー、有田功さんが水に潜った。
「だめだめ芝目なんて読んじゃ。大切なのは水の動きなんだから」
厳しいチェックにうなずいたあと、有田さんはドライバーに渾身の力を込め、思い切りボールを叩いた。一瞬、時速200キロ以上に加速したボールは、空気とは比較にならないほど大きい水の抵抗のためすぐにスローダウン。ゆっくりと3メートル先のカップに吸い込まれた。
水槽の外で練習の様子を見つめる日本ゴルフツアー機構の関係者は語る。
「国内の一部のゴルフコースは、15年以内にティーショットの前からウォーターハザードという異常事態に直面するだろう。欧州でもこの夏の大洪水を受け、水中ゴルフの機運が急速に高まっていると聞く」
日本ゴルフツアー機構では、池野さんの協力を得て水中でのプレーを研究すると同時に、女性キャディ50人を志摩半島に派遣して研修を受けさせているという。
練習メニューを一通りこなした有田さんに代わって潜ったのは、乙姫様チームと浦島太郎チームに分かれたビーチバレーの2チーム。普段から水に親しんでいると思われがちなビーチバレーの選手たちだが、水中化への取り組みは難航しているようだ。助けを求めて水槽のガラスを拳で叩く4人の選手に池野さんが向ける視線は厳しい。
「泳げる人は海で泳ぐもの。彼らは水がこわいから、砂浜でいつまでもボール遊びをしていたんでしょう。死ぬ気で練習しなければ、水のなかで自由自在に動けるようにはなりませんよ」
サッカー、ゴルフ、ビーチバレー……。水中化の動きは幅広い競技に広がりつつある。35年間、池野さんが心血を注いだ水中バレエ団は、最後までキワモノ扱いから脱却することができず、解散に追い込まれた。その池野さんがいま、水面下でいくつもの大輪の華を咲かせようとしている。
海面が現在よりも数千メートル上昇して、あらゆるスポーツの戦いが水の中で繰り広げられるようになり、オリンピックがキワモノの祭典になる――池野さんはいま、新しい夢に向かって着実に進んでいるようだ。
■香車が変える将棋界
2002/08/28
戦いは、焦げ臭い煙のなかで突然終わった。超高速カメラがとらえた山根和利6段の最後の一手は「1二香」。この小さな駒に込められたエネルギーの量は、厚さ15センチの将棋盤にぽっかりと空いた穴からうかがい知ることができる。
負けた稲場健介7段。色白の顔と長い髪で多くの女性ファンをとりこにしたが、今日はすすで全身が汚れ、瞬間的に高熱にさらされた前髪は短く縮れてしまった。
「銀4枚、金7枚で完璧に守ったはずなのに、あっという間にやられてしまった。この手筋は将棋界に革命を起こすかもしれない」
革命にはいつも犠牲が伴う。ギブスで包まれ、天井からワイヤーでつるされた手足が、革命の証左なのだろうか。
山根が使う革命の道具は香車。まっすぐ前にしか進めないこの駒は、『資本論』や機関銃、カリスマ指導者と比べれば何の力も持たないように見える。
だったら、エネルギーを加えてやればいいんじゃないか ――― そんな逆転の発想が、将棋界を震撼させる「高エネルギー香車戦法」へとつながった。対戦相手が油断したすきに、将棋盤を茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機構に持ち込み、敵の王将めがけて秒速3キロ以上の香車を打ち込むという、将棋界はもちろん、あらゆる勝負ごとの常識を根底から覆す作戦だ。
この戦法を編み出してから、山根は25連勝中。負けた25人のうち23人は病院送りとなり、2人は現在も行方がわかっていない。慌てた日本将棋連盟は「『待った』は負け」とのルールを改正し「『待っ』だけでも負け」とすることを急きょ決めた。
8種類ある将棋の駒のなかで、将棋の現在のルールが確立して以来、最も軽視されてきたのがこの香車だ。前方になら一度に何マスでも進めるため、一度に一マスしかない歩よりも強力だが、盤上に18個もある歩の存在感は、将棋盤の四隅にひっそりと置かれている香車をはるかに凌ぐ。
ところが、20世紀に入ってからの科学技術、とくに物理の研究成果が応用されるようになり、香車の持つ潜在能力にスポットライトが当たった。「高エネルギー香車戦法」は、素粒子物理学の分野では定跡とされる「高エネルギー電子戦法」「高エネルギーα粒子戦法」などの、いわば派生型だ。
ほかの分野のノウハウを香車に活かそうとする研究も進んでいる。
「1三千八百十七億九千四百八十七万千八百七十三の香車で、2一にある桂馬を取ることができるはず」
A4のレポート用紙5枚に小さな字でびっしりと書き込まれた数式や計算を示しながら力説するのは、間宮恵次5段。しかし、将棋盤の横の座標が「1」の位置にある駒に「2」の位置にある駒を取ることなどできない。少なくとも、香車がルールに従ってひたすら前方にしか進めない限りは。
「香車は曲がらないと誰もが信じている。たった百年前まで、真空中で光が曲がったりはしないと信じていたように」
間宮は、将棋界では初めて、一般相対性理論を戦法の裏付けにしようとしている。アインシュタインは一般相対性理論のなかで、重力のある時空が曲がっていることを明らかにした。発表直後、多くの学者が懐疑的だった理論の正しさは、日食のさい、太陽の重力のためにその背景にある恒星の位置が一時的にずれて見えたことで証明された。
「同じことが、香車にもあてはまるはず」と間宮は説く。「地球上では直進しているようにみえる香車だが、たとえば太陽10個分の重力を人工的に発生させれば、桂馬を凌駕する機動性を備えるのではないか……」
香車への物理理論の導入という時代の流れは、まったく新しい将棋と実験方法を産みだそうとしている。今年5月、岐阜県吉城郡神岡町にある廃坑を再利用して作られた地下1000メートルの巨大なタンクに、香車の駒2500万個を流し込む作業が始まった。周囲の振動や電磁波から遮断され、静かに積み重なった香車の山を崩すのは、太陽から厚い地殻を突き抜けて飛来するニュートリノだけだ。
「…………………………………………………………………」
タンクの周囲に埋め込まれた無数のマイクを通じ、駒のどんな小さな崩壊も聞き逃すまいと、研究者たちが聞き耳を立てている。9月にも始まるニュートリノと人類の崩し将棋対決。仮に人類が勝てば、ニュートリノの知られざる特性、さらには宇宙誕生の秘密が解き明かされるかもしれない。
■凶悪犯罪の背景に失恋体験
2002/08/30
兇悪犯罪の約4割は、失恋体験が原因との調査結果が話題になっている。交際を拒絶するさいの慎重な言葉選びが、意外な犯罪防止策になりそうだ。
調査にあたったのは、名古屋大学の橋田静子助教授らのグループ。強盗、殺人、放火などで懲役10年以上の判決を受け、現在服役している受刑者1021人から聞き取り調査を行ったところ、そのうち41%に「とてもいい人だけど、交際はできない」と好きな異性に宣告された経験が複数回あった。
橋田助教授は、失恋を繰り返すうちに「いい人でいる限り、永遠に恋人を見つけることはできない」との焦りが生じ、兇悪犯罪の引き金になったとみている。1997年には福井県で、軽犯罪法違反容疑で警察署に任意出頭した男性が、出迎えに来た女性に「あなたは本当はいい人。一瞬、魔が差しただけ。でも、おつきあいはできません」と言われて逆上し、より本格的な刑法違反で現行犯逮捕される事件が発生している。
日本いい人なんだけど連合の谷木茂専務理事は、「いい人のレッテルを背負う男女に日本社会が向ける視線は常に冷たい。いい人でも幸せをつかめるような、社会や政府のサポートが必要なのではないか」と話している。
■社長受難の時代――経営者の能力とは?
2002/09/04
三井物産が次期社長を発表した3日、同社の内外から驚きの声が上がった。国後島発電施設の不正入札やモンゴル政府高官に対する贈賄疑惑の責任を取り辞任する前任者に代わり、巨大商社のトップに就任する小野肇氏は42歳。取引先から寄せられるクレーム処理に長く関わってきたが、社内での知名度はゼロに等しい。
「かかとがそろった状態で膝はまっすぐ。それでも手のひらがぴったりと床についていた」
役員の一人は人選の決め手になった面接の様子を明かす。その2日前、会長・社長の辞任やむなしとの認識が社内に広がった時点で、物産の人事部は全世界の支店、営業所、事務所に緊急通達を送っている。
「体の柔らかい社員急募。経歴、学歴、年齢は不問。応募は本社人事部まで。立位体前屈の写真添附のこと」
3日に記者会見を開き辞任を発表した現社長は「経営責任」を認めた。しかし、一連の疑惑の真相については当局による捜査中であること、書類が押収されたことを理由に「説明できない」の一点張り。翌日の新聞には真横から撮影された現社長の写真が「腰は最大でも30度しか曲がらず、どこまで反省しているか疑問」との説明とともに掲載された。
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三菱自動車、雪印、日本ハム、そして三井物産……。優良企業を舞台にした不祥事がこの数年、急増している。「会社ぐるみの犯行ではない」「再発を防ぐのが経営者としての責務」といった弁明もむなしく、激しい非難の波に飲み込まれるように社長が辞任する。そんなパターンが繰り返されてきた。
上場会社社長の座を3年前に逐われた人物は語る。
「大企業の社員すべての行為を把握できるわけがない。社員の不祥事を理由に社長のクビを切ってばかりいると、日本経済の体力が弱体化する」
不祥事の記録がまったくない有名企業はいまや少数派だ。終身雇用制の崩壊で、不正を目の当たりにした社員が内部告発するケースが増えた。マスコミの監視も厳しい。かつては新聞が経済面の片隅で取り上げたような地味な問題も、いまではテレビのワイドショーがショッキングな効果音つきで繰り返し報道する。
「不祥事を防ぐという目標はもはや現実的ではない。不祥事発覚のダメージを最小限に抑えることが、日本企業にとっての課題になるだろう。時代のニーズに合わせて社長の条件も見直されるべき」と、一橋大学のMBA(Master of Business Apology)コースで教壇に立つ馬場伸欣助教授は語る。
前出の三井物産役員も、同様の見方を示す。
「これからの企業経営者に求められるのは、社員を率いる能力ではなく、社会に謝る能力だ。胸が足にぴったりつくくらいの謝り方なら、物産の看板についた傷はすぐに消え去るだろう」
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日本以上に企業の不祥事が多発しているのが、米国だ。エンロン、ワールドコムで明らかになった不正会計は、二つの巨大企業を瞬時に葬り去った。最近では大手証券会社がこれらの企業の内情を知りながら、投資家に株式購入を勧めた疑いも浮上。米国企業がいつ泥沼から抜け出せるのか、誰にも分からない。
「米国企業は不祥事に対する免疫がない。投資家や証券当局が企業の不正に厳しいことはもちろんだが、アメリカ人が伝統的に謝り下手という要素も見逃せない」(ハーバード大学ビジネススクール、マイケル・ドリスコフ教授)
米国企業がいま注目するのが、日本人の優れた謝罪能力。7月、ニューヨークで元外務審議官の加茂真二氏がビジネス・コンサルティング会社を開いた。加茂氏は入省以来、一貫して日本の対中国・韓国政策の中枢で活躍、謝罪のプロと呼ばれた人物だ。
「日本人はすいませんという言葉を、感謝の意味と陳謝の意味の両方で使う。こんな民族は世界で日本人だけ。謝罪の能力が企業の競争力を左右するこれからの時代は、日本企業にとり有利なのではないか」(加茂氏)
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原子力発電所の点検修理記録改ざんが明るみに出た東京電力で3日、新社長が電話対応マニュアルの変更を全国の事業所に命令した。
――電話に出たらまず「ごめんなさい」
――停電の苦情なら「ごめんなさい」
――先方の連絡したい人が不在なら「ごめんなさい」
――間違い電話がかかってきたら「ごめんなさい」
――相手がいつまでも無言なら「ごめんなさい」
今回の不正について、可能な限り謝る。ほとぼりがさめても、ひたすら謝り続ける。その量が次の不祥事が起こったときの会社の評判、さらには日本の原子力政策をも左右することになる。ゴールが見えない東京電力の戦いは、まだ始まったばかりだ。
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