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やゆよ 付属 |
記念財団 図書館L館 |
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ここには右の15本の嘘が登録されています。 |
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鳥はどこから 来たのか? |
鳥は、いつ、どのようにして、空という巨大な空間に進出したのだろうか。多くの鳥類学者が、この問いに対する答えを求め続けている。 分類的には、陸上を走り回っていた恐竜の一部がやがて翼を備え、青空に向けて飛び立ったとの説が、学界で主流になっている。最近、中国やマダガスカルで相次いで見つかった、鳥類と恐竜の両方の特徴を備えた化石が、それを証明している。 依然として明らかにされていないのは、飛び立つまでの経緯だ。どんな理由で、鳥類の祖先は、ある日、空に向かってはばたいたのか。 最近注目を集めているのは、シカゴ大学のジョン・ベルナール教授が発表した、「極度の鬱状態」説だ。そのころ鳥類の祖先は、気候の変化のためにえさが急減したことに悩んでいた。わずかなえさを仲間とともに奪い合いながら生きていくのは、あまりにも辛い。それならいっそ……。お父さん、お母さん、先立つ不幸をお許しください。そうつぶやいて崖から飛び降りた鳥類の祖先は、地面に激突する直前に死にきれなくなり、懸命に羽ばたいたところ、いつのまにか大空を飛翔していた。「ああ、飛んでいる。ボクは飛んでいるんだ」。そして少年はえさを求めてどこまでもどこまでも飛んでいきました……と、この仮説はややメルヘンチックだが、ベルナール教授によれば、白亜紀後期の崖っぷちの地層から見つかった、左右がきれいにそろった足跡が動かぬ証拠だ。 これと並ぶ有力な学説は、ウェールズ大学のスミス・ウォルシュ教授が主張する「いつの時代にも、空は変わり者の舞台」との考え方。多くの人が空を飛ぶことなど神話の中のできごとに過ぎないと考えていた19世紀後半、ドイツの航空研究家リリエンタールは、狂人扱いされながらも、自作のグライダーで飛行実験を繰り返した。1896年には飛行中に突風にあおられ、墜落死したリリエンタールだが、その研究成果はライト兄弟をはじめとする世界各国の航空研究家に受け継がれた。 ウォルシュ教授は、恐竜の世界にも、リリエンタールのような変わり者がいて、寝食を忘れて飛行実験を繰り返し、最後には墜落死したのではないかと推測する。「日本の琵琶湖で繰り広げられる鳥人間コンテストを見ても、空が変人を引きつけてやまないことは明らかだ」(ウォルシュ教授) 一方、美しいメス恐竜の貞操の危機が、鳥類誕生の契機になったとの大胆な学説もここに来て注目を集めている。京都大学の吉永暁世教授らのグループが、当時、か弱くてどことなく浅丘ルリ子似の恐竜が生きていたとの仮定に基づいて行ったシミュレーション実験では、この恐竜が悪役肉食恐竜に囲まれ、絶体絶命のピンチに陥ったとき、どこからともなく赤いトラクターのエンジン音が聞こえてくる可能性が極めて高いという結果が出ている。安易といえばあまりに安易な展開ではあるが、吉永教授らはこの仮説が正しいことを証明するため、白亜紀のギター化石探しを続けている。 1998/6/27 |
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規則改正で 選挙が変わる |
「有権者の皆様の清き一票をお願いいたします」 選挙のたびに日本全国を包むこんな叫び声が、長崎市の南西、約15キロに浮かぶ小さな島、端島でも久しぶりに響いている。 またの名を、軍艦島。海面下約1,000メートルで良質の石炭を掘り出すために作られたこの「要塞」には、炭鉱労働者やその家族のために建設された高層アパートがいくつもそびえ立っている。周囲はコンクリートの壁で囲まれ、まさに、海上に浮かぶ軍艦のように見える。 しかしいま、この島には誰も住んでいない。1974年の閉山で、端島は経済的な価値を完全に失った。高層アパートはそのまま廃墟になった。時折上陸するのは、大量の火薬を持ったアクション映画のロケ隊と、人間がいなくなったあとの都市の崩壊状況に興味を持つ、物好きな学者しかいない。 その端島に、各党の公認候補が相次いで上陸している。彼らの必死の「お願い」を聞いているのは、島の周囲を飛ぶカモメと、アパートの窓に巣を張った大きなクモだけのように思える。 この夏、端島がこんなにも騒々しくなったのは、公職選挙法が改正されたためだ。これまでは出張などに限定されていた不在者投票の理由が、すべての「不在」に拡大され、捺印も不要になった。24年前に住民がすっかり「不在」になった端島は、一夜にして巨大な票田へと変身した。 島の南側では、ある候補が精力的にアパートの廃墟を一戸一戸訪問し、パントマイム式の握手で票を固めようとしている。ところが対立候補の陣営は、島の南側の旧住民が現在、長崎市内や関西方面に住んでおり、各自治体で有権者として登録されていることを突き止めた。不在者資格を失った人は推定で5,000人以上。端島の選挙が混迷の度を深めることは間違いない。各候補者にとっては、今後しばらく、手探りの選挙戦が続きそうだ。 1998/6/27 |
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日本の技術が 平和に貢献 |
クリントン米大統領の中国訪問に合わせ、両国の軍事当局者の間で交渉が行われているが、中国政府はこれまでに、米政府が要求していた戦略ミサイルの照準外しを受け入れたもよう。 戦略ミサイルの標的は、平時から仮想敵国の軍事拠点や都市などにセットされている。照準が外されても、再設定には数分しかかからないが、米政府では象徴的な意味を重視している。 中国側がこれまでの米中交渉で、照準外しに難色を示してきたのは、ミサイルの航法装置の精度があまり高くないため。「狙っても狙わなくても当たる確率が同じだということがわかれば、ロケットを発明した国の沽券に関わる」(人民解放軍幹部)。中国のミサイルの場合、むしろ照準を外したほうが命中率が向上すると指摘する軍事評論家もいる。 このため米政府は、世界トップレベルの照準外し技術をもつ日本政府に協力を要請。防衛庁も、米中関係の安定がアジア全体の平和に貢献するとの立場から、照準外し顧問団を近く北京入りさせることを決めた。 この顧問団は最近、仏国内で開催されたテストで、29発のうち28発を外すという好成績を収めている。残り1発を放った人物は都合により北京入りしないため、米中両国の当局者の間では、100パーセント確実な照準外しが実現するとの期待が高まっている。 1998/6/27 |
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危ないのは うつぶせ寝 だけではない |
「うつぶせ寝は、ほかの姿勢と比べてとくに危険なわけではない」 ── 乳児の突然死や窒息死の原因とされてきた「うつぶせ寝」について、厚生省の寝相研究班は最近、こんな報告をまとめた。 「睡眠そのものが、極めて危険な行為であることがわかってきた」 研究班長を務めた山梨医大の城山浩三教授は、こう指摘する。うつぶせ寝によって突然死や窒息死が発生する確率は、ほぼ予測されていた通りだった。他の睡眠の方法が、従来考えられていたよりも危険であることが判明したのである。 なかでも、標高の高い地方でのゴロ寝は致命傷になりかねない。宮城県と山形県の県境にそびえる蔵王山には、毎年、数千人の登山者が訪れるが、ゴロ寝して転落死した人の数は今年に入ってからすでに12人。昨年の同じ時期の6人を大きく上回っている。いずれのケースでも、遺体は水温の冷たい日本海岸で発見された。ふもとで民宿を経営する森年男さんは、「太平洋側を向いた斜面を選べば、事故を未然に防ぐことができるのに」と、無謀な登山家の増加を嘆く。 もちろん、体を横にしなければ安心というわけではない。昨年、座ったままの居眠りが原因で死亡した人は、日本全国で5345人に達した。このうち自動車運転中の居眠り事故が約8割を占めるが、サボテンの世話の最中、ウニ加工工場での作業中、ミノカサゴとの入浴中の居眠りでも、合計100人以上が死亡している。 たとえ死亡には到らなくても、睡眠が徐々に心を蝕むこともわかってきた。三重県尾鷲市の主婦、大沢一恵さんは、夜9時にもなっていないのに布団に入ってしまうことが多い。夫がなかなか帰ってこないため、ふてくされてしまうのだ。豪快な「大」の字の寝相といびきからは想像がつかないが、夫は数年前から浮気しており、一恵さんもそれに気が付いている。だからこの数年、愛の甘いささやきはもちろん、「おやすみ」「いま何時?」、さらには「あ、地震だ、地震だよ」といった緊急時の会話さえない。一恵さんにとっては、たとえ姿勢は気楽でも、完全なふて寝だといえる。長期間にわたるふて寝の結果、一恵さんの性格は、格子柄のパジャマを着られなくなるほど歪んでしまった。 安全かつ健康的な睡眠は不可能なのだろうか。城山教授によれば「寝たふりをすることが、現在考えられる唯一の方法」だが、近所に猟師が住んでいる場合には、捕獲されて瀬戸物屋の看板にされる危険性が一気に高まる。恐ろしくて夜も眠れない。そんな状態が一番安全なようだ。 1998/7/2 |
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絶望の肖像 |
ここに、一枚の肖像画がある。 頬はくぼみ、肌は青白く、額にはこの男の悩みを象徴するかのように、深い皺が何本も刻まれている。不精髭が生えているのは、もう身だしなみなど、どうでもよくなったからなのだろう。虚ろな視線は、自分で問題を解決する能力と意欲の欠如を示している。 経済企画庁が「平成10年度版経済白書」に掲載した顔グラフ、「日本の景気」だ。 景気指標を素人にもわかりやすくとの狙いから、昭和50年代に採用された顔グラフは、最初の数年こそ低成長と高インフレを反映した不機嫌な顔だったが、日本経済のバブル膨張に比例して明るさをまし、1987年ごろには笑いが止まらない状況になった。 1989年の顔グラフには、いつのまにか「狂乱」という題名がつけられた。美術評論家たちから「資本主義経済の歪みを鋭く表現した優れたアート」との評価を受けたこのグラフは、ニューヨーク現代美術館に永久展示されている。機械受注の急激な拡大のために顎の関節は限界を超える角度まで広がり、ついに外れてしまった。唾液の糸の長さは、その年の公示地価上昇率を示している。好調な百貨店売上高を反映して両目は大きく見開かれているが、民間部門の営業人員平均接待回数が2.521回(オーバーナイト)という空前の水準に達したために、眼球は血走っている。 あれから9年。最新の顔グラフに、日本経済の栄華を示す要素は一つも残っていない。逆に、日本経済が危機的な状況に置かれていることを象徴しているのが、顔の前で横倒しにされた数多くの徳利や空のボトルだ。住宅金融専門会社処理のために6850億円の公的資金が投じられた瞬間から、顔グラフの暮らしが荒れはじめた。 「これ以上呑ませるんじゃねえ、とのお声もありますがね、もう、この男に頼れるものといえば、酒しか残っていないんですよ」(経企庁高官) しかしいつかは、酒の力でもどうにもならない事態になる。金融監督庁が17日に発表した全金融機関の不良債権額(広義)は87兆5270億円。天井からぶら下げられた麻縄の輪に、そろそろ手が届く。 1998/7/19 |
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激励 |
もしもし、おれだよ。久しぶり。いや、こっちはもうすっかり立ち直ったよ。そっちこそ3連敗で大変だったな。 おめでとうって、言いたくてさ。日本人として2番目のセリエAプレーヤー。最初のセリエAプレーヤーの偉大さにはもちろんかなわないけど、3番目のセリエAプレーヤーよりは、ちょうどひとり分、自慢できるじゃないか。 二つだけ、先輩としてアドバイスしたいことがあるんだ。まず、サッカーはチームのスポーツじゃないから、試合中だけでなく、日ごろからチームメートと親しくする必要があるんだけど、だからといって、自己紹介の代わりにヒデとロザンナのメドレーなんて歌っても、変人扱いされる以外には何の効果もないんだ。言っとくけど、オレは空想や理論だけでこんなアドバイスをしてるんじゃない。 もうひとつ、規則正しい食生活も大切だ。なんせ、朝はマカロニ、昼やラザーニャ、夜はスパゲッティって奴らだから、まともな日本人なら一週間もしないうちにウンザリ。かといって、アジの開きを食ってるようなプレーヤーは、イタリアでは一流として認められないぞ。 一つだけ、いい方法がある。むこうのスーパーで麺を買ってきて、ゆでてから和風スパゲッティの素をぶっかけて食べれば、日本人でもパスタの国でなんとか生きていけるってわけさ。餞別代わりに、「のりたらこスパゲッティの素」「梅じそスパゲッティの素」「とりそぼろスパゲッティの素」、それぞれ3ヵ月分を小包で送るよ。製造年月日は消してあるが、腹をこわすようなことはないと思う。足りないようなら、うちにあと3年分くらいはあるから、遠慮しないで言ってくれよな。 健闘を祈ってる。予定より早く帰ってきても、オレだけはお前の味方だから、連絡してくれよ。それじゃあ…… 1998/7/26 |
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これでも 日本が 叩けるか? |
自民党総裁に選ばれる前から「決断力に欠ける」とのレッテルを貼られていた小渕恵三首相が、蔵相の人選で日本だけでなく、世界をアッと言わせた。 「大蔵大臣は、アウン・サン・スー・チー女史」 30日昼、共同通信が首相官邸に近い消息筋からの情報として伝えた第一報に、外為市場はすぐにドル売り円買いで反応した。 日本経済に覆い被さった暗雲が、スー・チー女史の抜擢でいっきに晴れたわけではもちろんない。深刻な消費意欲の落ち込み、中小企業を苦しめる貸し渋り、巨額の不良債権……。国内の経済問題は何一つ解決していないし、早急な解決は望めない。 にもかかわらず、海外のメディアや機関投資家の間では、楽観的な観測が広がっている。 「大蔵省という金融システムの独裁者が、スー・チー女史の手で解体される日が迫った。市場はより『民主的』な形で運営されることになろう」(ウォールストリート・ジャーナル) 「日本経済の抜本的な改革は成功し、必ずやスー・チー女史はノーベル経済学賞を受賞するだろう」(ファイナンシャル・タイムズ) 「ミスター・オブチは人類にとって金融システムよりもはるかに大切なものがあることを、我々にディスクローズしてくれた」(ワシントン・ポスト) いずれの新聞も、大蔵大臣の人選を社説のなかで高く評価している。人権と結びつけられれば、欧米のメディアは日本の金融政策を批判する力を失うだろう、という首相サイドのもくろみが、見事に当たった。今のところ、小渕首相の決断に批判的なのは、キューバ、北朝鮮、ナイジェリアの体制派メディアだけだ。 猛烈な売り浴びせで山一証券に「死刑」を宣告したともいわれるクオンタム・ファンドの代表、ジョージ・ソロス氏は、日本企業や日本経済全体を投機の対象にする理由を失った。スー・チー女史を敵に回すことは、ミャンマー軍事政権と手を組み、オープン・ソサエティの実現を妨げることに他ならない。 ASEAN諸国にとっても、スー・チー女史の起用で日本経済の立て直しは単純な経済問題ではなくなった。最近開催されたASEAN外相会議ではスー・チー女史への支援に前向きな発言が大勢を占め、これまでの「円安責任論」はすっかり影を潜めた。 「海外のメディアが日本たたきをやめれば、日本のメディアがそれを引用することもなくなり、消費意欲や投資意欲が上向きになる。諸外国の日本経済に対する見方は、さらに好ましいものになる」と、首相のブレインのひとりはスー・チー効果の広がりに期待を寄せる。 ミャンマーの軍事政権がスー・チー女史の出国を禁止しているため、31日には軍事政権監視の下、日本から小渕首相、経済官僚、財界代表などがスー・チー女史の自宅を訪れ、経済戦略会議を開く。前出の首相ブレインはスー・チー女史が下す景気拡大優先の決断に期待を寄せるが、軍事政権がスー・チー女史を人質に、消費税率の引き上げと円借款の大幅な拡大を要求する可能性もある。 1998/7/26 |
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寿司屋の話術 |
寿司屋において、すし職人の話術は、いわゆる「馴染みの客」を育む要素になるのだろうか。この問題に対する一つの手掛かりを、今野康夫さんが提供してくれる。 今野さんは見たところ、決して饒舌なほうではない。客がのれんをくぐって店に入ってきたときの「いらっしゃい」、客から注文を受けたときの復唱、勘定を済ませて帰る客の背中に向かって「ありがとうございました」。基本的には、この三種類の言葉だけで客に対応しているように見える。 「その写真はどこだい?」 これまでに店を訪れた有名人の色紙や記念写真数枚の上には、どこかの山を撮った、白黒の風景写真がかけられている。山の写真に気がついた、会社経営者らしき白髪の男が今野さんに質問したが、今野さんは寿司を握っている手元から視線を動かさずに、 「生まれ故郷の近くの山です」 と、ぶっきらぼうに答えただけだった。 「そうかい、草や木のない、なんだか恐ろしくなるような山だねえ」 「ええ」 そして今野さんはまた黙々と寿司を握る。ここ「宝寿司」は浅草界隈でも名の知れた店であり、客はただ、今野さんの握る寿司に舌づつみを打っていればいいはずなのだが、3分もしないうちに、意識的に、または無意識のうちに、店の沈黙を破ろうとする客が出てくる。今夜は、白髪の男がその役目を果たした。 「あんた、お国は?」 「北のほうです」 白髪の男の連れで、中間管理職らしき中年の男が甲高い声を上げ、話の輪に加わった。 「なまりがぜんぜんないですね」 「上京して今年で45年ですから、シャキシャキの江戸っ子じゃあないが、なまりはないですね」 今野さんが笑った。今野さんは愛想笑いということをしないから、今夜初めて見せる笑顔だ。 「ときどき帰るのかい?」 「ええ、まあ。いまは便利なもんで、ビュッとひとっ飛びですからね。ただ母親が死んでからは、帰っても寂しくてね」 「そう……」 店の空気が重苦しくなった。白髪の男は、質問しなければよかったと後悔したが、今野さんが話を続けてくれたことに救われる形になった。 「集団就職で上京したのが15歳のとき。最初は繊維工場に入ったが、すぐに潰れました。田舎から出てきた仲間は散り散りになったが、いまでも社会のいろんな分野で、みんな頑張っていますよ」 「ほう。で、そのあとすぐ寿司屋に弟子入りしたんだな」 「そういうわけじゃ、ないんですよ。田舎じゃ寿司なんて食ったことがないもんだから、寿司職人になる気なんかぜんぜんありません。最初は左官屋でしたが、親方が夜逃げしちまって、次はケーキ職人になりました」 「へえ、ケーキって、シュークリームとか、バウムクーヘンとかの、あのケーキですか?」 「そう。カタカナが肌に合わなくてね、3カ月で辞めちまった」 「それから寿司屋に?」 「最初は見習いでね。店の前に貼り紙がしてあったんで、入るとね、おかみさんが、『里はどこだ』『東京に身寄りはないのか』とか聞くんですよ。正直に事情をはなしたら『そう、それはお困りでしょう』なんて言って、奥に引っ込んだと思ったら、今度はおやじさんが出てきた。『おれも東京に出てきてから、随分と苦労した。で、お前、口は固いのか』って聞くから『ええ、そりゃあもう』と答えると、『じゃあ、明日から来てもらうか』ってことになったんです」 「口が固いのが採用の条件か。うちの会社にも企業秘密はたくさんあるからな。秘密が守れんような男は使えないよ」 と、白髪の男は納得した様子である。しかし、中間管理職風の男は不思議に思った。 「でも、寿司屋の企業秘密って、なんですかね。玉子の焼き方とか、そういうものなのかな?」 今野さんは何も答えず、黙々と寿司を握っている。そして、再び店の中は静寂に包まれた。今野さんは握り終えた寿司二つを中間管理職の前に置き、相手を見据えて、こう尋ねた。 「なんだと思います?」 「さあ、なんでしょう……」 今野さんは客に想像もつかないことに満足した様子で、こう言った。 「大きい声じゃ言えませんがね、M資金なんですよ。その秘密というのが」 「えっ、M資金!」 白髪の男は驚きのあまり、飲んでいたお茶を吐きだしそうになり、慌てておしぼりで口をおさえた。 「戦後まもないころから、M資金を活用してなにかしでかそうという人は、この店で申し込むことになっていたんですよ」 「そ、それは、本当かね」 「本当ですよ」 今野さんは、白髪の男の慌てふためきようにさらに満足して答えた。 「ちょっと待ってください。その『M資金』っていうのはなんなんですか」 中間管理職がそう尋ねたとき、カウンター席の片隅で、さきほどから会話に加わらずに黙々とちらし寿司を食べていた和服の男が、白髪の男と中間管理職が座っているほうを見て、こう説明した。 「お若いの、M資金とはな、戦後の怪事件に何度となく登場した、謎の資金なのじゃ。その規模は数十億円とも、数十億ドルとも言われるが、誰もその実態を知らぬ。それにしても浅草の寿司屋がM資金の窓口になっていたとは、夢にも思わなんだ」 まだ半信半疑の様子で、白髪の男が今野さんに尋ねた。 「じゃあ、先代の店主は、GHQかなにかの関係者だったのか?」 「いえ、どちらかといえば、米国防総省に近いらしいんですがね」 和服の男が口を挟んだ。 「ほう、それは初耳ですな。この店にはNASAの息がかかっているとばかり思っていたのだが」 「まあ、コネはいろいろなところにありますからね。ほら、松田聖子が懐妊したって話。あれはね、私がさる筋から聞いて女性週刊誌にたれこんだんですよ。あの夫婦には、まだ世間には知られていない秘密があるんだな。まあ、あんまり多くは言えないが」 その時、勢い良く引き戸をあけて、テレビのワイドショーによく出演している芸能レポーターが店の中に入ってきた。 「どうも。ええと、竹を一人前。情報のほうは特上で頼むよ」 なれなれしい口調から判断して、このレポーターも店の常連らしい。 「まあまあ、そう慌てないでくださいな。いま松田聖子妊娠情報を、ほかのお客さんに話してたとこなんですよ」 「そうか。で、父親は誰なの?」 と、メモ帳を胸ポケットから取り出しながら、レポーターは尋ねた。 「これも、ここだけの話ですがね、相手はやはり外人でしたが、芸能界とは関係ない人。米農務省の高官ですよ。穀物担当の。私がその男にじかに聞いたところだと、今年はエルニーニョの影響で……」 そのとき店に入ってきたのは、携帯電話を持ったスーツ姿の若い男3人。店まで競走してきたのか、肩で息をしながら鉄火丼やいくら丼を注文し、「これからいよいよ作付け状況の説明です」などと電話の相手に報告している。 「商社のみなさん、こりゃ毎度。えーと、どこまで話したのかな。そうそう、エルニーニョの影響で、米国での小麦の作付け状況は『やや不良』となりそうなんだが、中国がパキスタンに核兵器の技術を供与するようなことがあれば、小麦の対中国輸出が禁止され、国際市場における需給がだぶつくことになりそうですな」 座敷席に陣取っていた外人客が、それまで閉じていた襖を開くなり、通訳を通じてこう尋ねた。 「中国はどの程度の技術を、パキスタンに供与するつもりなのか」 「そりゃあもう、中国が持っている技術すべてでして。こりゃ、ことによっちゃキューバ危機以来の事件に発展するかもしれませんな。キューバ危機といえば、みなさんは、ケネディ暗殺の真相をご存じですか?」 すべての客が、無言で首を横に振った。 「ケネディ暗殺の真犯人は、何をかくそう……。あ、こりゃまずい。もう閉店の時間です。この続きはまたこんど……」 今野さんの声が、けたたましい轟音に包まれて聞こえなくなった。激しい振動のために、皿、コップがカタカタ音をたてた。最初はゆっくりと、そして次第に加速しながら、店の壁、カウンターとともに、今野さんが上昇していく。 「CIAがからんでいるんですかぁぁぁ」 と誰かが叫んだが、今野さんは 「明日は水曜で定休日ですから、この続きはあさって……」 と答えたところで、上空に浮かぶ巨大な葉巻型円盤から発射された光線のなかに包まれてしまった。 今野さんが消えたのを見届けた客たちは、携帯電話や衛星通信の端末でどこかに連絡をとりながら、宝寿司があった場所を離れていった。最後まで残った白髪の男と中間管理職風の男が、椅子に腰かけたまま、お茶を飲んでいる。 「博士、あの寿司屋は何者なんでしょうか」 と、白髪の男。口調がさきほどまでとは全く異なっている。中間管理職風の男は、 「いや、慌てるな。今日は重要な手掛かりがあった。『北のほう』と言っていたからな。とりあえず北極星から30度の範囲内を重点的に捜索してみることにしよう。あさっては、そうだな、フランス人老夫婦に変装して来店することにするか。いつかきっと、あの寿司屋の正体をつかんでやる……」 とつぶやいて、UFOが消えた北の夜空に鋭い視線を向けたのだった。 月刊「現代寿司屋経営」1998年8月号 1998/8/8 |
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パスワードが 「枯渇」する日 |
8月12日、関口直人さんは、自らの写真を仏壇に飾り、手を合わせた。この日は関口さんの「パスワード命日」だ。関口さんは今年34歳。平均寿命から予測すれば、これから40年以上はパスワードを使わない人生を歩まなければならない。 「情報化社会でパスワードを使えなくなったことは、ある意味で死に等しい」と、関口さんは目頭を抑えながら語る。かすかな望みを抱いて、暗証番号を「0812」にしてキャッシュ・カードを作れないかどうか銀行に問い合わせたところ、案の定、断られたという。 インターネットや電子決済の増加に対応して通産省と大蔵省が財団法人パスワード管理協議会を設立したのはおよそ1年前。今年4月からは、犯罪の防止を目的に、安易なパスワードの設定が厳しく規制されている。 関口さんは当初、銀行のキャッシュ・カードの暗証番号に自分の生年月日、パソコン通信のパスワードに生まれた街の名前、インターネット・プロバイダのパスワードに初恋の人の名前を使っていたが、ある日、協議会から「使用不可」を宣告された。 協議会によれば、他人によってキャッシュカードやアカウントが悪用された事件のうち、89%は暗証番号やパスワードに個人情報に関する数字や文字が使われていた。個人情報は専門の業者に一定の料金さえ支払えば、簡単に入手することができる。到底、破られないように見えるパスワードも、可能性の高い数千の語句で逐一トライすれば、数分で破られてしまうのが実情だ。 「複雑なパスワードの設定を義務づけたことにより、今年の4月以降、銀行口座やアカウントの不正使用は激減した」と、協議会の島村健一理事は指摘する。 しかし、規制の強化により、パスワードの選択肢は大幅に狭くなった。例えば親戚の名前の場合、6等親よりも遠くなければならない。テレビ番組に出演した怪獣、モンスター、悪役三人組の名前も一律禁止された。 今年6月にインターネット・プロバイダと契約した関口さんは、2週間かけても適当なパスワードを考えだすことができなかったため、専門の業者に頼んで何のかかわりもない女性の名前を紹介してもらったが、好奇心で会いに行ったところ、運悪くこの人がたいへんな美女であったために一目惚れしてしまい、やっとのことで登録したパスワードを抹消されてしまったという。 規制強化は、当初予測されていなかった分野にも影響を及ぼしている。「4126」をパスワード、またはその一部にすることが禁止されてから、伊東温泉のハトヤ旅館では宿泊客の減少が続いている。なかでも、ノートパソコンを持った湯治客の数は従来の10分の1に激減した。パスワード問題に詳しい早稲田大学理工学部の豊田真助教授は、以前、多くの人は何の気なしにパスワードに「良い風呂」を選んだために、毎日何度も入力するうちに、知らず知らずのうちに洗脳されていたのではないかと指摘している。 ちなみに豊田助教授本人も、パスワードの変更を強制されて以来、「別に髪が黒々としていなくたっていいじゃないかと、余裕をもって考えられるようになった」という。 このように、多くの人々の生活に影響を及ぼしているパスワードの規制強化だが、ほとんどのセキュリティ・システムがそうであるように、この規制にもまた抜け穴がある。 規制の実施から数週間がたったころから、全国の役所に、奇妙な出生届が提出されるようになった。子どもの氏名欄には、「河原崎4$2#tT7O1@」「山本45wEQD.dL」などと記されている。姓は親と同じだが、名は数字と英語、記号の組み合わせだ。子どもの名をパスワードにすることは禁止されたが、現行の規定によれば、パスワードをもとに子どもの名前を決めることはできる。パスワード不足に悩んだ親が、ランダムなパスワードを選択したあとで、それを忘れないよう子どもの名前を決めたらしい。戸籍係が全角半角、大文字小文字の区別をしないまま登録したところ、親が激怒したとの情報もある。 規制が緩和されない限り、無機的な名前の子どもは今後も増えつづけることだろう。10年も経てば、小学生の半分は名札に 「3年2組 ********」 などと書いているかもしれない。 1998/8/13 |
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橋本家の 音 |
1998/8/30 |
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食品用語の 基礎知識 |
超高圧食品超高圧のもとで、熱を加えずに調理した食品。素材の栄養分や風味が保たれていることが特徴。口に入れた瞬間に、鼻をつまんで「フンッ、フンッ」などと叫ばないと鼓膜が痛くなるのが欠点。 エディブル・フラワーズ(食用花)バラ、ラベンダー、スウィートピーなどのうち、西洋料理の食材として利用されるものを指す。見た目が美しいだけでなく、栄養のバランスも優れている。若い女性を中心に人気を集めているが、日本では95%が団子の材料として使われているのが実状。 コピー食品まったく異なる原料を用いて、ある食品と類似した味わいや歯触りを再現した食品。カニ風味かまぼこが代表的な成功例。メロンパンが代表的な失敗例。 脱水シート浸透圧の作用で食材に含まれる余分な水分を取り除くためのシート。うまみを失わずにすむことから、一般家庭にも近年急速に普及したが、王家の谷では紀元前20世紀ころから使われていたらしい。 ティア・アイソトニック飲料アイソトニック(等張)飲料は汗とともに流出したミネラルを補充するのが目的であったが、ティア・アイソトニック飲料はその涙版。一晩泣き明かして忘れちまったアイツの思い出を完全に回復する。 ソムリエレストランに常駐している「酒倉の番人」。1995年の世界ソムリエ選手権で日本の田崎真也氏が優勝したことで、ソムリエの知名度が一気に高まった。東洋系格闘技の選手が世界一のソムリエに選ばれたのは、田崎氏が初めて。 フレーバーコーヒー果物、木の実などを入れて、その香りを楽しむコーヒー。アメリカでブームに火がついた。日本でも水不足の地域などで「ママレモン風味」が人気を集めている。 魚醤魚介類の内臓を熟成させた調味料。秋田県のショッツル、ベトナムのニョクマムなどが有名。魚醤ブームに注目して、ブルドック・ソースも97年、製造法を抜本的に変更した。 有機野菜6肥料として大量のカプロラクタムを与え、これを開環重合させて栽培した野菜。豊富な繊維質を含み、耐摩耗性、潤滑性に優れる。肥料にアジピン酸とヘキサメチレンジアミンを使った有機野菜66もある。 改造卵有機ヨウ素を含む特殊卵に、さらに過激な改造を加えた卵のこと。サスペンション、排気管、インテリアの改造が中心。専門誌『明日の鶏卵農家』の綴じ込み付録「俺のタマゴを見てくれよ」がブームの火付け役になったと言われている。背景には農村における深刻な娯楽不足がある。 1998/9/2 |
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消費税率を 半分に |
日本経済がいま抱えている問題。突き詰めていえば、それは消費マインドの冷え込みである。1200兆円という巨額の個人資産があることを考えれば、昨今、内外の注目を集めている金融システムの不安は、日本経済の構造変化の過程で生じた一時的な問題に過ぎない。 さて、個人資産に相応な水準にまで消費意欲を高めるには、どうすればいいのか。まず考えられるのは、金利の引き下げにより、一国の経済活動を活発化することである。しかし周知の通り、公定歩合は3年前から0.5%という空前の低水準にあり、日本銀行の金利政策は明らかに手詰まり状態だ。 もう一つの手段、というより政府に残されている唯一の選択肢は、減税である。小渕内閣は7兆元規模の減税を計画しているが、最高税率の引き下げ・累進税率の軽減といった高所得者層向けの措置が中心であり、これでは景気浮揚効果は望めない。必要なのは、より多くの国民が所得や資産、年齢、性別などに関わりなく、広く享受できる減税だ。 私はかねてから、消費税率を2.5%、つまり現行の半分とするよう提唱してきた。消費税減税なら、買い物をしたり、有償のサービスを受ける消費者すべてが恩恵にあずかることができる。消費税率が3%から5%に高まっただけで、景気は当局者がまったく予想していなかったほど悪くなった。では、消費税率が5%から2.5%へと下がればどうなるか。これまで我慢していたものを買いに行くというのが、自然な行動であろう。 しかし、たかだか2.5%という税率の差、さらには価格の差が、消費者にとってそれほど重要だとは思えない。一つの小売店のなかでも、通常の時間帯と閉店間際の時間帯の間ではるかに大きな価格差が生じているが、閉店間際を狙って買い物に行く消費者は、それほど多くない。 重要なのは、「税率半減」というイベントが消費者に与える心理的な効果である。大蔵省はテレビのコマーシャルや街頭でのキャンペーンを通じて、消費税減税の景気浮揚効果を何倍にも高めることができるはずだ。 一方で、経済政策の最優先課題が景気立て直しに移ったとはいえ、日本の財政はなおも極めて厳しい状況にある。景気刺激のために、我々の子孫の税負担を増やしてもいいのかという議論があることを、私はよく承知している。 消費税率引き下げは、可能な限り早急に実施すべきだ。しかし、恒久減税とするのは難しい。例えば、5年間でもいい。景気が当初の見込みよりも早く回復すれば、3年間で税率を元に戻しても構わない。極論すれば、学生たちが冬休みに入り外食・ウィンターレジャーへの需要が高まる今年12月19日(土曜日)から、新学年が始まる1999年4月4日(日曜日)までに集中的な減税を行う道もある(ただしこの場合は、各種メディアを使った宣伝キャンペーンに大規模な先行投資を行う必要がある)。 消費税率を元に戻したあとは、たとえば所得税率、あるいは法人税率を半分に引き下げるのが望ましい。常に何かの税率を半分に設定することによって、消費者の心中に「税金値ごろ感」を持続的に生じさせることが、民間消費の安定的な拡大につながるからである。 それではいつまで経っても財政が再建できない、と心配する必要はない。例えば所得税が半額だとすると、納税者はすっかり得をした気分になり、ついつい「ついでに相続税、地価税、有価証券取引税のセットも納めようかしら」といった気分になるものなのである。そして客単価は以前よりも増える。少なくとも私のこれまでの経験から言えば、一般庶民なんてそんなものだ。 日本マクドナルド社長 藤田田
1998/9/12 |
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ここにも あった 環境ホルモン |
やんちゃ盛りの男の子が父親に及ぼす精子生成量の抑制効果は、ポリ塩化ジベンゾフランの3倍以上に達する ―― 強力な環境ホルモンが、意外なほど身近なところに存在することが、山形大学医学部の研究グループによって明らかにされた。詳細な研究結果は英の科学誌「ネイチャー」10月号で発表される。 研究チームのリーダー、本郷秀夫教授によれば、休日出勤で土曜日の深夜まで働いていた30代の父親が、翌朝6時ころ、小学校高学年の息子に耳元で「パパ、今日はつりに行く約束だよ」と叫ばれると、精子の生成量がその後2週間にわたって平均72%減少するという。本郷教授は「もう子どもは絶対に欲しくないという深層心理が、男性ホルモンの分泌量を抑制するためではないか」と分析している。 母親が子どもに過大な期待を寄せている場合には、作用がとくに著しい。地方公務員の男性、Aさんは長男が生まれたあと、妻からバイオリン、算数、体操、水泳など習いごとのスケジュールと予算がびっしりと書き込まれた表を手渡され、ノイローゼになった。幸い精子量が急減したために、Aさんは二人分の出費を回避することができたという。 動物実験でも、被験者となった小学生高学年の男の子が、与えられたラット10匹をヨーヨーやミニ四駆などに縛り付けて3時間以内に全部殺してしまい、ラットの精子生成が完全に停止したことが確認された。 子どもの存在が父親の生理機能にどのようなメカニズムで影響を及ぼすのかも、次第に明らかになってきた。銀行員の男性、Bさんは身長198センチの息子に小遣いをせびられ、断ったところ急所を思い切り蹴られた。医師に「子供を作ったあとで良かったですね」と慰められたBさんは、息子を世界最大の環境ホルモンに認定するよう、ギネスブックに申請することにしている。 1998/10/5 |
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DRAMの 生産量 抑制へ |
通産省は市況の回復を目的に、DRAM(記憶保持動作が必要な随時読み出し書き込みメモリー)メーカーを対象に減反制度を取り入れることを決めた。農水省の専門家の意見を参考に、近く法令の制定に向けた準備を開始する。 産業のコメと言われた半導体部品だが、とくにDRAM分野では日本や韓国で行われた集中的な設備投資の結果、深刻な供給過剰が続いている。通産省高官は、減反で日本政府が培った生産調整のノウハウが、DRAMに対しても活用できると期待している。 国内のDRAM在庫は8月末現在で43万3000トンと、前年同期を24%も上回った。在庫の約8割は1個あたりの記憶容量が16メガビット以下の古RAMであり、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)のエレクトロニクス産業が急成長しない限り、消化は不可能だとの見方が強い。 比較的、価格競争力が強いとされる複数のメーカーは、自由売買制度の維持を求めて近く「減反反対総決起集会」を開くことを計画している。一方で生産ラインの従業員からは「一〇八もの工程を経て製造されるDRAMが、倉庫に山積みされているのを見るのは忍びない」と嘆く声も聞こえてくる。 1998/10/5 |
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日本人よ 選択の 時が来た |
まかせてください、日本の選択 日本となりのおばさん党
第9回嘘競演参加作品 お題「嘘選挙ポスターを作ろう!」 1998/10/5 |
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日本経済を 救う道具 |
日本経済を危機から救うと期待されているその道具は、長さ約30センチ、太さ約1.5センチと意外なほど小さく、構造も極めてシンプルだ。「スパイラル・ストレッチャー」を考案した、本間京治・埼玉大学経済学部教授が実際に使って見せてくれた。先端から息を吹き込むと「プー」という音が響き、反対側で渦を巻いて丸まっていた油紙製のホースがまっすぐに伸びる。単価85円のこの奇妙なツールは、本当に日本の救世主になるのだろうか。 「いま必要なのは、マクロではなく、ミクロ的な政策」と、本間教授は語る。「悪循環を断ち切るには、国民一人一人がこのツールを活用するしかない」。一般家庭の所得が減少し、国民は日に何度もため息をつく。気分は憂鬱になり、出費は抑制され、需要は冷え込む。企業は収益の悪化に対応して人員合理化や賃金抑制などの対応を講じる。一般家庭の所得がさらに減少する。このような悪循環を構成する鎖の環のうち、唯一、防ぐことができるのがため息だ。 本間教授が1000世帯以上を対象に行った調査では、給与明細や家計簿を見てため息をつく瞬間に、「スパイラル・ストレッチャー」を口に装着された人のうち87%が、「プー」という響きの作用で倹約が馬鹿馬鹿しいと感じるようになった。彼らはすぐに、居酒屋でビールをもう1本注文したり、夕食を作らずに出前を頼んだりして景気拡大に貢献する。「プー」1回あたりの平均支出額は125円、ため息の回数は1人平均4.56回/日だから、国民すべてが「スパイラル・ストレッチャー」を使えば、民間消費は年24兆円増加することになる。 一部の経済学者は、空気を吹き込むことにより刺激された景気は、実体の裏付けがないためにすぐに萎んでしまい、「スパイラル・ストレッチャー」の効果は持続しないと主張している。このため本間教授は、さらに深刻な不況にも対応するべく、前方、右側、左側に伸びるホース3本を装着した効果3倍の「スパイラル・ストレッチャーX3」(単価152円)を開発中だ。 1998/11/1 |
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