相撲協会、「品格番付」を発表
日本相撲協会が初めての「品格番付」を発表した。朝青龍が最高位の横綱まで昇進したものの、品格面で数々の問題を指摘され、結局は20代での引退を余儀なくされたことを重くみて、協会として品格重視の姿勢を打ち出した。
品格番付は一般人を選抜するかたちで編成され、実力をもとに力士を順位づける従来の番付と並行して、年に6回発表される。認定基準は学識経験者や元横綱審議委員などの意見を取り入れてまとめられた。「むやみにガッツポーズしない」「清涼飲料水のCMに出てはしゃいだりしない」「髪の毛を引っ張らない」「カメラマンに『死ねコノヤロー』と叫んだりしない」「ボクシングの世界タイトルマッチで勝者を肩車しない」といった内容は、いずれも「品格序の口」の認定基準として採用された。
初の品格横綱に推挙されたのは、約40年にわたり教師を勤め、5年前に定年退職した柴田圭吾さん(滋賀県大津市)。民生委員を務めるかたわら、琵琶湖をきれいにする市民の会の代表として月1回のゴミ拾い活動を欠かさない。自宅で協会の使者から推挙について知らされた柴田さんは「身に余る光栄ですが、他にもっと立派な方がおられます。今回はご辞退申し上げたい」と応え、品格横綱に求められる条件の一つである謙虚さを早速アピールしていた。
協会では今夏にも全国から品格力士を集めて初の品格場所を開催する方針。品格力士と大相撲力士から上位4人ずつを選抜して年末にも「クライマックスシリーズ」を開催し、力士に求められるのは実力なのか品格なのかという長年の論争に終止符を打つ考えだ。
2010/02/07
伝統芸能の技法で取り調べを可視化
日弁連などが強く求めていた被疑者取り調べの可視化を、検察庁が伝統芸能の技法を取り入れることを条件に受け入れることを決めた。これまで密室のなかで行われていた取り調べが裁判官や裁判員に公開され、自白の強要や調書のでっち上げが未然に防止されると期待されている。
検察庁では昨年夏に大阪で発生した燃料販売店社長夫人殺害事件をモデルケースに試験的な可視化作業を行った。取り調べには台本作家が同室して容疑者の供述を詳細に記録。その内容を再構成して、このほど大阪地裁に臨時に設けられた舞台で模擬裁判を開き、事件の全容を再現した。
連日連夜のキャバクラ通いで勘当された燃料販売店の社長の義理の息子。それでも同業他社の社長夫人を通じて親から小遣いをもらっていたが、借金を重ねた挙句、金の無心を断った社長夫人を脇差で惨殺……。当事者の荒い息まで伝わってきそうな人形遣いの名人芸、そして繊細な三味線の響きと力強い浄瑠璃の声を存分に堪能した裁判官役、裁判員役の9人は、このあと別室で行われた評決で検察の求刑よりも厳しい死刑判決を下すことを全員一致で決めた。
模擬裁判に参加した人からは「実際の取り調べの様子をDVDで公開するよりも臨場感があって興味深い」「人形なのに生身の人間以上の表現力。さすがは人間国宝」といった肯定的な評価が相次いだ。検察庁では、すべての事件でこの手法を取り入れるのは困難としながらも、関西地方で心中事件が起きれば、積極的に立件・可視化していきたいと説明している。
2010/01/16
ヤマ場迎えた日航再建
「国交省よ、そこまでするか」
国土交通省が日本航空の経営再建に向け、強力なリーダーシップを発揮している。経営が破たんすれば民主党政権にとり大きな失点となるのは確実。恫喝と受け止められかねない強硬な手法で、現役の社員、債権者、そしてOBに経営立て直しへの協力を求めている。
国際線で747-400型機を操縦する神田伸生機長は、日航の2010年版世界の美女カレンダーを広げてみて絶句した。日航機が就航している世界各国で選考したモデルが水着やドレス、民族衣装をまとい、観光地や都市で撮影した写真を掲載したこのカレンダーは、日航関係者や得意先が毎年楽しみにしているノベルティ。ところが、「2月」を開いてみるとスイス・アルプスの山々をバックに、日本人女性が仁王立ちしてカメラをにらみつけている。年齢はぱっと見たところ約50歳。お世辞にも美しいとはいえず、前年までのカレンダーなら到底採用されなかったモデルだ。
「苦しい経営は、こんなところにも現れているのか」
日航の経営危機を改めて痛感した神田が、さらなる賃下げを覚悟したのとちょうど同じころ、みずほコーポレート銀行本店で開かれた役員会では、重役らが巨大なスクリーンから思わず顔を背けていた。
「噂には聞いていたが……」
「ひどい。ひどすぎる」
「これがマーケットに漏れたら、日航は一巻の終わり。債権はまったく回収できなくなる」
「6月」の蘇州。東洋のヴェニスと呼ばれる美しい街並みのなかで、やはり50歳前後の日本人女性が腕組みして立つ。スイスで撮られた写真よりも衝撃的だったのは、チャイナドレスの腰のあたりまでスリットが走っていたためだ。
「国交相はなんと言っているんだ?」
「さらなるつなぎ融資と債権の圧縮に応じるまで、2010年版美女カレンダーをダンプに満載して送り続けると……」
「金融庁は助けてくれないのか?」
「どうにもなりません。金融庁にもダンプが向かっているようです」
「なんとかして断る方法はないのか?」
会議室は重い沈黙に包まれた。国交省からの圧力にメガバンクが屈した瞬間だ。
当初、政府主導の経営再建がうまく行くかどうかは日航OBが企業年金の大幅な減額を呑むかどうかにかかっているとみられていた。11月下旬に都内で開かれたOB会で、西松遥社長が企業年金の大幅な削減に協力を初めて求めたさいには、削減は受け入れられないとの空気が支配的だった。ところが、その後は多くのOBが現経営陣の提案に歩みより、12月半ばには3分の2以上のOBが削減に同意した。あるOBが匿名を条件に譲歩の理由を明かす。
「自宅に郵送されてきたカレンダーを見ると、『8月』はワイキキのビーチで撮った辻元副大臣のワンピースの水着姿だった。その1週間後にも届いたカレンダーでは、水着がビキニになっていた。さらに1週間後にはヤシの実ブラ。『次は手ブラらしい』という情報が流れ、OB会はパニックに陥り、なだれを打つように賛成へと転じた」
金融庁の頭を飛び越え、関係者の心理的な不安をあおってまで再建策への同意を取り付ける国交省の強引なやり方には、批判も多い。自民党の運輸族は「そこまでやるか」とあきれ顔だ。しかし、前原誠司国土交通相は15日の記者会見で、こともなげにいい切った。
「政府が全面的にバックアップして日航の経営再建を後押しする以上、世界の美女カレンダーに辻元清美副大臣が登場するのは、極めて自然な流れだ」
2009/12/16
クラスター洗濯乾燥機、5年以内に実用化へ
室蘭高等工業専門学校の研究者らが、乱雑に脱ぎ捨てられた衣類のかたまりをそのままの状態できれいにできる「クラスター洗濯乾燥機」の開発に成功した。複数の家電メーカーから商品化に向けた共同研究の引き合いが来ており、早ければ5年以内に商品化されそうだ。
技術開発を行っているのは同校の角田敦助教らのグループ。研究室に独身男性の暮らすワンルームマンションを再現し、角田助教自ら実験台となって行った実験では、脱衣場の床に無造作に脱ぎ捨てたジーンズ、タイツ、パンツ、靴下のかたまりが、そのまま機器に投入され、洗濯と乾燥の工程を経て、55分後にかたまりの状態のまま取り出され、床の上に戻された。長風呂を楽しんでいた角田助教が全身をバスタオルで拭いてから、かたまりの中に両足のつま先を入れ、パンツ、タイツ、ジーンズの縁をつかんで引き上げると、服を脱ぐ状態の前に戻った。
財団法人日本被服研究協会の調査によれば、日本人が服を1枚ずつ脱いでたたむ時間は1人平均2分14秒。自分では脱衣や衣服の整頓ができない乳幼児、高齢者をのぞいても、日本全体で毎日、のべ313万時間が費やされている。最低賃金をもとに計算すれば、毎日21億円が無駄になっていることになる。
クラスター洗濯乾燥機の開発には、過去にも多くの家電メーカーや研究機関が挑んでいるが、洗浄の途中でかたまりが分解してしまう、下着の汚れが落ちにくいなどの欠点があった。角田助教らのグループは、洗浄槽に投げ込んだ衣類のかたまりの上からネットを当てることで分解を防ぐとともに、超音波洗浄装置も内蔵することで十分な洗浄力を確保した。
しかし、開発前に設定された「左右の靴下がズボンの左右の裾から出ている状態を保ったまま洗う」という目標はまだ達成されておらず、全国で年間8万件起きているとされる靴下片方紛失事故が減少に転じるのは、当分先のことになりそうだ。
2009/12/15
動物発毛コンテスト、グランプリは……
発毛サロンを全国で展開しているリーブ21が開催した初の動物発毛コンテストで、スベスベマンジュウガニがグランプリに輝いた。同社では発毛のための施術を行った個体について、日本甲殻類学会に対して「フサフサマンジュウガニ」への改称を申請する方針だ。
スベスベマンジュウガニは甲羅が滑らかで、全身に毛が1本もなく、名前の由来となったスベスベマンジュウよりもさらにスベスベと言われる。リーブ21生化学研究所では伊豆沖で捕獲した大量のスベスベマンジュウガニに、特別配合の育毛剤を塗ったり、全身をマッサージするなどした。3ヶ月後には大半の個体で、全身が濃い体毛で覆われたり、くっきりとした胸毛が現れるなどの変化が生じたという。
初回にして大きな成果を残した動物発毛コンテストだが、施術を受けたスベスベマンジュウガニの3.4%については満足のいく効果が出なかった。同社では「さらに発毛効果を高めて、動物満足度100%を目指したい」と説明している。
なお、これまでは毛深い魚介類といえば毛がにが真っ先に連想されることが多かったが、エステティックTBCがキャンペーンの一環として根室沖で毛がに全身永久脱毛フェアを展開していることから、漁業関係者は体毛観の抜本的な見直しを迫られそうだ。
2009/12/01
釣りコンテスト、1位は800キロ以上
鳥取県井式町の漁協が主催した長靴釣りコンテストで、俳優の市田新さん(62)が優勝した。体長2メートル、重さ800キロの巨大な靴果に、市田さんは鼻高々だ。
このコンテストは長靴の回流コースの中央に浮かぶ井式島に観光客を呼び込むために漁協が4年前から毎年11月に開催しているもの。腕に自信のある全国の長靴釣りマニア205人が参加し、井式島から半径5キロ以内の海域に散らばり、狙ったスポットで釣り糸を垂らした。
長靴の生態は謎が多いが、沖縄近海が繁殖地といわれ、稚靴の状態で台湾や沖縄の近海を回遊。パンプスやスリッパ、下駄などを食べて成長し、体長1メートル以上に成長してから対馬海流に乗って日本海を北上すると言われる。
市田さんの釣った長靴はその日のうちに包装されたあと、セリの行われる築地長靴市場へと送られた。漁協関係者は「靴底のパターンが滑りにくいしっかりした形。内部にも防寒性の高い毛がびっしりと生えているので、500万円以上の値がつくのでは」と期待に胸を膨らませていた。
なお、市田さんが今回釣った長靴は右足用。大会が終わったあとも現場の海域には地元の漁船が集結し、いまも海域に残る左足用を虎視眈々と狙っている。
2009/11/29
沖縄米軍の駐留地、全国持ち回りへ
山形県酒井市の陸上競技場。青い空に浮かんだ数十個の黒い点が徐々に大きくなり、やがてあたりは轟音に包まれた。駐車場の上で空中停止したヘリからは、完全武装の兵士たちがロープを伝ってするすると降りてくる。同じころ約2キロ離れた日本海岸では、強襲揚陸艦を使って約2000人の兵士、戦車、装甲車などが上陸。市街地を通って体育館へと向かった。
沖縄県普天間基地。その一角にある司令室に、次々と新たな情報が飛び込んでくる。「第5武装偵察中隊、所定のポイントに到着」「戦闘強襲大隊、到着まであと2分」。大型液晶ディスプレイに表示される部隊の展開状況を注視する司令官に、恰幅のいい白髪の日本人男性が尋ねた。
「名産品のサーターアンダギーはもたせましたね?」
「オフコース。作戦の成否は、沖縄みやげでどれだけ歓心を買えるかにかかっているからな」
白髪の男は神山譲二。元小結・常光山という経歴を、70代以上の相撲ファンなら覚えているはずだ。角界関係者の間ではむしろ、12年前に廃業するまで巡業副部長を30年にわたり務めた「風ノ海親方」の印象が濃い。表に出る機会こそ少なかったが、風ノ海が実質的に地方巡業をしきっているのは角界の常識だった。
その神山が外務省の委託を受け、3年前にまとめたレポートがある。「普天間基地、全国巡業の可能性」。方向性が示されてから13年が経つのにめどが立たない普天間基地移転問題の解決のためには、基地本体を現在の場所に残したまま、巡業で日本全国津々浦々を訪れ、国民が広く米軍駐留に伴う痛みを負担するしかないという内容だ。レポートの内容は2007年春の安倍ブッシュ会談で米側に伝えられ、2年余りの事務レベル協議を経て、米軍の歴史のなかで前例のない巡業の決行日、Jデーを迎えた。
酒井市に最初の部隊が到着してから2時間後。陸上競技場のピッチの上では、海兵隊兵士による格闘訓練が始まっていた。入隊5年目の屈強な兵士に、3か月前に入隊したばかりの細身の兵士が挑むが、簡単に地面に倒される。肩で息をしながらも、細身の兵士はまたぶつかっていく。海兵隊が、神山からの助言を取り入れて始めた「クラッシュ・エクササイズ」だ。「米軍は返れ」と赤字で書かれた横断幕を掲げながら、遠巻きに眺めていた地元の労組関係者の視線が変わった。「くじけずに精進して、いつか立派な兵士になってほしいと思わずにはいられない」
激しい訓練のあと、泥だらけになった兵士2人が、近くの民家を訪れた。覚えたばかりのたどたどしい日本語であいさつし、民家が貸してくれたお風呂に入った。「日本の風呂では前を隠すのが礼儀とされる」。沖縄を出発する前のブリーフィングで神山から伝えられた情報が、トラブルの発生を未然に防ぐのに役立つ。
沖縄海洋大学の室井信也準教授(政治学)は、沖縄米軍の巡業制導入を高く評価する。「沖縄の米軍は日本の安全保障に役立っていると、東京の政治家はいう。それなのに沖縄以外の自治体はどこも米軍基地を受け入れようとしない。本来なら基地そのものを移転すべきだが、巡業している間、沖縄の基地を留守にしてくれるのなら、負担は大幅に軽減される」
沖縄米軍の初の巡業では、酒井、大館、弘前、花巻、いわきの東北5都市を「転戦」する予定。日米合同で効果の検証を行い、良好と判断すればほかの地域にも巡業先を広げる方針だ。ワシントンでも地方巡業が米軍への厳しい見方を変えてくれるとの期待が広がっており、強硬派からは早くも「米軍イラン場所」の開催を求める主張も出ている。
2009/11/09
一般道の速度上限、80キロに引き上げ
警察庁は一般道の最高速度に関する新しい基準をまとめた。最高速度の上限を時速80キロメートルまで引き上げるなどの内容。都道府県の公安委員会に対し、速度規制の見直しが必要な区間がないかどうか調査するよう指示した。
現在、最高速度の上限は60キロに設定されているが、見通しのいい直線道路などでは80キロ走行も安全との指摘があり、多くの車両が「スピード違反状態」で走行しているのが実情。通行量の多い区間では速度上限がノロノロ運転の一因にもなっており、トラック業界、バス業界などから見直しを求める声が強まっていた。
学識経験者の間では、上限だけでなく下限についても再検討する必要があるとの見方が支配的。「最低速度を現行の0キロから20キロ程度に変更することで、交通渋滞は劇的に改善するはず」と、東京工業大学の穂積潮教授(交通工学)はみる。トヨタ自動車研究所の小野肇上級研究員も「自動車は発進のさいに大量のエネルギーを消費し、停止の直前に大量のエネルギーを無駄にしている。速度下限の見直しでCO2排出量は18%程度減るのではないか」と予測する。
しかし、時速20キロ程度で走行する自動車に飛び乗ったり、飛び降りるのには高度な技術が必要。赤信号の交差点を停止しないまま通過できるか、工事中の高架道路に誤って進入してしまったらどうなるかなど、技術的な課題も山積している。警察庁はアメリカ人女優のサンドラ・ブロックさんから事情を聞くなどして、走行速度下限の引き上げに向けた調査を本格化させる見通しだ。
2009/10/31
東京都議選、国政への影響は?
麻生太郎首相は11日夜、親しい国会議員数人との会食のなかで、12日に投開票が行われる東京都議会議員選挙の結果は「国政には直接影響しない」と述べた。政界に定着しつつある「都議選は前立腺」との見方に異を唱え、引き続き政権運営にあたる意志を強調したとみられる。
これに対して民主党の鳩山由紀夫代表は12日朝、「都議選での民主党の大勝は確実。都議選イコール前立腺であり、大量の前立腺液を分泌することで、いよいよ政権交代の準備が心身ともに整った」と語るなど、都議選の勢いを保ったまま総選挙を闘う意欲を示した。
自民党内部では、都議選の結果次第では今後の国政運営に重大な支障をきたすとの懸念が広がりつつある。「首都・東京で民主党が存在感を増し、国家政策がチョロチョロとしか打ち出せない状況は前立腺肥大症に等しい」と、町村派の古参議員は指摘する。
11日夜に都内で開かれた自民党国会議員の会合では、野田聖子・消費者行政担当相など女性議員らが「前立腺はしょせん前立腺に過ぎない。都議選の結果がたとえ悪くても、必要以上にくよくよするのはいかがなものか」と発言、一部の男性議員から「おまえたちにオレの悩みがわかるものか」と猛反発を受け、すぐに発言を撤回する場面もあった。
2009/07/12
閣議中にめまい、閣僚数人を救急搬送
6日午前中に開かれた閣議の途中、佐藤総務相、森法相、中曽根外相ら数人が突然「気分が悪い」「めまいがする」「吐きそう」などと体調不良を訴えて退席し、そのまま千代田区内の病院に救急車で運ばれ応急手当を受けた。いずれの閣僚もすぐに健康を回復し、昼ごろには職務に復帰した。
突然の体調不良の理由は不明だが、石破農相は「メリーゴーランドが高速回転しているような気分だった」と語っている。麻生首相が求心力を失ったのに続き急速に遠心力を強めていることに、閣僚たちの三半規管が順応できなかったのではとの見方が、都内の耳鼻咽喉科医の間で強まっている。
安倍、福田の各内閣では末期に求心力低下が伝えられたが、それでも退陣時に加速度換算で0.2ミリ毎秒毎秒程度の求心力を保っていた。麻生内閣の求心力はもともと「限りなくマイナスに近いプラス」(首相経験者)とみられており、鳩山由紀夫民主党代表の政治資金問題が表面化したことを受け、内閣発足以来久しぶりに10ミリ毎秒毎秒の大台を突破するのではないかとの楽観的な見方も出ていた。すでに求心力から遠心力に転じていたとすれば、都議選や総選挙への影響は必至だ。
今後も遠心力増大が続けば、遠心分離効果で東国原宮崎県知事らとの連携を目指す模索する若手・中堅国会議員の動きが強まりそう。一方で当の麻生首相は、ぶら下がり取材のなかで「逆回転すれば遠心力を求心力に変えるのは簡単。そうは思いませんか」と、いつものように記者に反問し、平静を装っている。
2009/07/06
コツコツ型、進む二分化
上智大学の上川譲教授(心理学)らが行った調査で、従来は「コツコツ型」に分類されていた性格類型が、2つのタイプに分化しつつあることが明らかになった。不況のなか新社会人や求職者の堅実志向が強まっているといわれるが、状況はそれほど単純ではないようだ。
派手さはないものの地道な努力を続ける性格は従来「コツコツ型」と呼ばれてきた。昨年夏から冬にかけて20〜25歳の青年1400人余りを対照に行われた調査で、この性格に該当した人は32%と、5年前と比較して7ポイント増加した。リーマンショック以降の不況で不確実性が増し、派手な成功よりも堅実さを追い求める傾向が強まっていることが影響したようだ。
ところが詳細な分析の結果、コツコツ型のなかには地道な努力はするものの、周囲と微妙に努力のタイミングが異なるグループが存在することが判明した。その数は広義のコツコツ型の約3分の1。上川教授が新たに「ツコツコ型」と名付けた集団だ。
「コツコツ型ががんばっているときには一歩下がり、コツコツ型が休んでいるときこそ努力するのがツコツコ型の特長。価値観が著しく多様化した90年代、そして2000年代を経た社会にあっては、コツコツ型にすべてが集約されるわけもなく、コツコツ型との間に適度な距離感を保つツコツコ型が派生したのかもしれない」(上川教授)
上川教授らは、尊敬するミュージシャンを問われたツコツコ型の多くが「ボブ・マーリー」と答えている点に注目している。
2009/06/23
臓器移植法改正、グラビア業界に波紋
臓器提供の拡大に道を開く臓器移植法改正案が衆院を通過したことを受け、セクシーグラビア業界は商品内容の見直しと自主規制に向けた検討作業に開始した。参院可決までには新たな業界ルールを定める方針だ。
セクシーグラビア事情に詳しい大川澄子弁護士は、「脳死が人の死として認められた以上、裁判所が『悩殺は人の殺』との判断を示すのは時間の問題。悩殺された読者が損害賠償を求めて民事訴訟を起こす可能性もある」と警鐘を鳴らす。
脳死と異なり、悩殺については明確な判断基準は設けられていないが、はち切れんばかりのビキニに身を包んだバスト85以上、ウェスト58以下、ヒップ85以上のモデルがカメラに臀部を突き出しながら砂浜に膝と肘をつき、こちらを向いて物欲しげな表情を浮かべている様子を収めた写真は、殺人2人分に匹敵するとの見方が刑法学者の間では有力だ。
出版各社が写真集や週刊誌のグラビアページの見直しを迫られるのは必至。これまで違法すれすれの過激な内容の写真集で売れ行きを伸ばしてきた一部の出版社は、表現の自由を侵害するものと今回の法改正に反発を強めているが、これらの写真集が「大量殺戮兵器」とみなされ、多国籍軍の攻撃の標的になる可能性もある。
2009/06/19
アニメの殿堂、構想を抜本的見直し
自民党と公明党は補正予算案のうち、建設費117億円は無駄遣いとの批判が野党から出ている国立メディア芸術総合センター(通称「アニメの殿堂」)の計画について、内容を抜本的に見直すことを決めた。
政府高官によれば、同センターの建設を主張していた麻生太郎首相も、次第に強まる批判を重く見て、ハコモノ施設ではなく、予算規模を大幅に縮小したうえで「殿堂のアニメ」を政府主導で制作するよう指示したという。
これを受け文化庁では脚本家数人を集め、すでにストーリー作りに着手した。往年の名選手を顕彰する野球、ロボット、モータースポーツ、サッカーなどの殿堂が登場する群像劇とすることはすでに決まったが、描写の方法についてはスポ根もの、魔法使い少女もの、小動物もの、学園武闘もの、青少年向けお色気ものなどさまざまなアイディアが浮上しており、いまのところ流動的だ。
アニメ評論家の人見輝氏は、「通常の殿堂だけでは登場人物の幅が狭すぎる。ストーリーに『激安の殿堂 ドンキホーテ』をどうからめるかが、作品の出来や日本の対外的なイメージを大きく左右するのではないか」との見方を示している。
2009/06/17
セミの鳴き声、脳内の炎症が影響
和歌山大学の松浦淑子教授(昆虫学)らの研究グループが、セミの鳴き声と、セミの脳内で発生している炎症の種類の間に密接な関連があることを突き止めた。英の学会誌ジャーナル・オブ・エントモロジーで近く発表する。
松浦教授によれば、セミの脳内では炎症が起きていることが多いが、その種類はセミの種類によりさまざま。アブラゼミの脳の炎症部位に電極を挿入して、微少電流を音声に変換すると「ジジジジジジジジジ」と聞こえるという。クマゼミは「シャシャシャシャシャシャシャ」、ミンミンゼミは「ミンミンミンミンミン」。いずれのセミについても、脳内で鳴き声に近いかたちの痛みが発生している可能性が大きい。
「私たちも頭痛のときには黙っていられずに、家族や友人に『頭がガンガン痛い』『キリキリこめかみが痛む』と言ってしまうもの。セミが同じ理由から痛みを鳴き声に託したとしても不思議ではない」(松浦教授)
研究者グループがセミを捕獲し、アスピリンを薄めた液を体内に注射すると、どのセミも鳴くのをやめたという。逆に大量の日本酒を注射したセミは、その直後こそ気持ちよさそうに鳴いていたが、翌朝には「ガンガン ガンガン ガンガン」と、しばしば嘔吐しながら鳴くことが確認された。
ほとんどのセミが頭痛を抱えている理由は謎だが、和歌山市内の開業医、田中明雄さんは「数年から十数年、地面の下にこもりっぱなし。突然明るいところに出てきて、体調がおかしくならないほうが不自然」と、幼虫時代の過ごし方に問題があるとの厳しい見方を示す。
セミの鳴き声は典型的な夏の風物詩だが、この研究結果が日本人の季節感を根底から覆す可能性もある。動物愛護活動家らからは、「すべてのセミを救うのが無理としても、せめてツクツクホーシツクツクホーシツクツクホーシ型頭痛に悩む個体だけでも救ってあげられないか」といった声が出はじめている。
2009/06/12
おいしいコーヒー、「時計回り」が条件
ロシア科学アカデミーのモスクワ物理学研究所が行った調査で、手動ミルを使ってコーヒーをいれる場合、ハンドルを時計方向に回転するほうが、反時計方向よりも香り・味とも優れているとの結果が出た。長年、コーヒー党素粒子物理学者の間で繰り広げられてきた回転論争に一石を投じそうだ。
この調査では1281人の被験者に時計回り、反時計回りで豆を挽いたコーヒーを目隠しして飲ませ、どちらが好きかを尋ねた。時計回りを選んだ人は28%、反時計周りは19%、よくわからないが53%だった。同研究所のウラジミール・プリコフ所長は「素粒子間ではたらく弱い相互作用は左右非対称であるため、回転方向によってコーヒーの味が微妙に変化することは、理論的には1960年代から予言されていた」と説明する。
コーヒーの粉をセットしたドリッパーにお湯を注ぐさいの方向はどちらがいいかについても調査が行われた。その結果は時計回りが18%、反時計回りが12%、よくわからないが70%。ここでも時計回りに軍配が上がったかたちだ。
コーヒーは通常の方法で飲むほうが美味しいと答えた人が24%だったのに対し、逆立ちしながらストローで吸い上げるほうが好きと答えた人は36%に達した。「立ってコーヒーを飲むと、コリオリの力が働いてコーヒーが反時計回りに渦を巻きながら食道を流れ落ちていくため、わずかながら雑味が交じる」との通説が、初めて科学的に裏付けられた。
2009/06/11
「千差万別」は差別用語
国語審議会は6日に開いた差別用語判定会で、「千差万別」が差別用語に該当するとの判断を初めて示した。マスコミ各社や政府、自治体などは他の表現への言い換えを迫られそうだ。
「差」と「別」を含む四字熟語である「千差万別」については、差別用語に該当するのではないかとの声が以前から上がっていた。「千」と「万」の組み合わせも、「千軍万馬」「千言万語」「千姿万態」など数が多いことや程度のはなはだしいことを意味する。審議会のある委員は「差別の対象が明確でないとはいえ、千差万別が最大級の差別用語であることは間違いない」と指摘する。
審議会では「千差万別」という言葉が社会で広く使われていることから、経過措置として「百差千別」「十差百別」といった表現を段階的に導入し、10年後をめどに全面禁止に踏み切るよう求める声もでたが、「差別的な響きは変わらず、早急に厳しく規制すべき」との声に押し切られた。
急進的な審議委員からは「そろそろ『差別』という言葉そのものが差別的かどうか検証する段階に来ている」との意見も出ているが、「差別」という言葉や概念を回避しつつ、それが差別用語と断定するには「ソレって、なんだかアレ」式の議論に陥りかねず、審議会の手腕が試されそうだ。
2009/06/10
宇宙戦艦ヤマト、新エンジンを搭載
年内に公開予定の新作アニメ映画「宇宙戦艦ヤマト」に、ハイブリッド・エンジンが搭載されることが明らかになった。トヨタ自動車がエンジン換装を条件に制作費の一部を負担する。21世紀の自動車産業を大きく左右すると言われるハイブリッド技術が、23世紀にも影響を及ぼし始めた。
1974年に初めてテレビアニメが放送され、その後何度かテレビや劇場版映画が制作された宇宙戦艦ヤマトシリーズでは、一貫して「波動エンジン」がヤマトの動力源となっていたが、科学的な合理性を持たない架空の技術との批判は最初にアニメ化されたころからあった。一方、ガソリンとモーターを組み合わせたハイブリッドは約10年前に実用化されており、リアリティは十分。環境負荷も軽く、ハイブリッド化を契機にロハス派の間でもヤマトへの関心が高まりそうだ。
エンジン換装に伴い、ヤマトの主力兵器も波動砲からハイブリッド砲に交代する。高出力、高エネルギー効率、静粛性がハイブリッド砲の特長だが、頻繁な発射が宇宙環境に悪影響を及ぼすおそれもあることから、新作映画の劇中では発射前に環境アセス委員会が有識者の意見も聞いたうえで慎重な審査を行い、希少生命体の保護対策を十分に講じたうえで運用を行うことになりそうだ。
トヨタでは最近発表したばかりの新型プリウスについて、家庭用の交流電源からの充電もできる「プラグイン型」の開発を続けている。ヤマトも2年後に公開予定の続編では、一度の充電で大マゼラン星雲までの航行が可能になるとみられている。
2009/05/29
民主、二重まぶた世襲の禁止を提唱
民主党は議員立法で二重まぶたを親から子へと世襲することを禁止する方針を固めた。党のマニフェストに盛り込み、総選挙に向けて連立与党への攻勢を強める考えだ。
衆議院事務局によれば、与野党の衆議院議員480人のうち二重まぶたは122人(整形手術によるものを除く)。このうち自民党が70人を占めている。122人のうち76人は両親がともに二重、46人はどちらかが二重だった。「本人が努力することなく、親から二重まぶたを受け継いだにすぎない」との民主党による指摘を裏付けたかたちだ。
共産党や社民党からは「二重の親子議員がいるという点では民主も自民も大差ない」との声もあがっているが、民主党では「親が右目二重の片重の場合は子が左目二重の片重になるなど『まぶた替え』を行っている場合がほとんどで、世襲にはあたらない」と説明している。
一部の政治評論家は「ハゲやデブ、ハマコーの外観の世襲は野放しでいいのか」と、二重まぶた世襲だけをやり玉にあげる民主党の姿勢に疑問を示す。一方、麻生太郎首相は「総理大臣の座と国会議員のバッジ以外、祖父からは何も受け継いでいない」と語り、世襲批判などどこ吹く風だ。
2009/05/25
いつまで続く? 上場企業の減益増嘆
3月期の業績発表が続く株式市場。減収、減益、人員削減、生産規模の縮小など「右肩下がり」のデータが氾濫するなかで、突出したデータがある。「前年比13.5%増」。株式市場関係者、経営者、そして投資家が吐き出す二酸化炭素の量が急増しているというのだ。
14日の定例記者会見。二階俊博経済産業相は、ストローを刺したコップを片手に会見場に現れた。記者から経済危機が今年の温暖化ガス排出量に与える影響について尋ねられると、表情を一瞬曇らせたあと、ストローをくわえてため息をつき、ぶくぶくと泡を立てた。
経産省幹部を通じてストローの使用を二階氏に強く働きかけたのは、長野市に本拠を置くNPO法人、緑の地球を考える会だった。「ため息を我慢するのは難しい。それならため息の二酸化炭素が大気中に放出されるのを防ぐべき」と野木良久事務局長は説明する。
考える会によれば、ストローを通して水中でため息を吐けば、二酸化炭素の約半分が水に吸収される。排水口で捨てられた水は下水や浄水場を通じ、最後は海に流れ込み、地球温暖化で放出量が増加している海洋中の二酸化炭素を補う。ストローは先端を折って塞ぎ、先端に近い部分に針で多数の小さな穴を開け、水は5度以下に冷やしておくと一層効果的だという。
一部の企業は考える会の呼びかけに応じ、コップの水とストローを用意してから業績発表に臨んでいる。数十秒にわたるため息のあと、すぐに泡が消えてしまったのを見て、数千億円規模の泡を膨らませた90年代前半が懐かしいと力なく笑う不動産会社の副社長もいた。
2009/05/15
世界経済の分岐点──デフレか、インフレか
ニューヨーク・マンハッタンの書店。平積みされた本を、周辺のオフィスビルで働くビジネスマンたちが次々と購入していく。"SEIHIN - Honorable Poverty" 中野孝次の1992年の著書、『清貧の思想』を翻訳したこの本は昨年秋の発売以来、230万部を売るベストセラーとなった。物質的、金銭的な豊かさではなく、精神的、内面的な幸福を尊ぶべきだというこの本の主張にアメリカ人の多くが賛同する。
「率直に言って、『清貧の思想』に感銘を受けてしまったことを、私は日本人に謝らなければならない」。かつて日本の経済政策を鋭く批判した経済学者、ポール・クルーグマンでさえ、こう語る。
しかし、清貧礼賛の風潮はデフレ時代の前兆ではないのか……。
「餃子の王将のアメリカでの出店は認めない」──上院経済委員会が7日、全会一致で決議を採択した背景には、日本型デフレがアメリカ経済の回復を遅らせることへの強い危機感がある。日本の深刻な消費マインドの冷え込みのなかでも餃子の王将は手軽な価格が人気を集め、創業以来最高のペースで売り上げを伸ばしているが、外食産業における値下げの潮流の先頭に立っているのも事実。「餃子の王将がアメリカ本土に6ヶ2ドルの餃子を上陸させれば、トヨタやソニー、いや日本陸軍の上陸よりも恐ろしい」とルイス・ランブレナー上院議員(共和党)は懸念を示す。
連邦準備制度理事会(FRB)はすでに公定歩合をゼロに近い水準にまで引き下げた。ところが景気浮揚の兆しは見えず、物価指標などの統計を見る限り、米国経済はむしろデフレへと一歩一歩近づいている。バブル崩壊後にゼロ金利政策の採用を余儀なくされ、その後約10年にわたりデフレから抜け出せなかった日本の失策の再現だ。
コラムニストのピーター・ハーディング氏は7日付のワシントンポスト紙上で「日本と同じ政策なら日本と同じデフレに陥り、経済規模がどんどん縮小していくのは明らか。インフレ型政策の模範を探すべきではないか」と問いかけた。デフレになるくらいならインフレのほうがまし、といった考えはエコノミストの間でも根強い。政策金利がゼロになればデフレに対しては打つ手がないが、インフレに対しては政策金利を無制限に上げることができるからだ。
8日のニューヨーク証券取引所でダウ平均株価が一時前日の終値よりも200ドル以上、上げたのは「空席となっているFRBの理事に、ジンバブエのムガベ大統領が任命される」との情報が流れたためだった。その後FRBが「現時点ではまだ何も決まっていない」と発表したものの、市場の過敏ともいえる反応はデフレに対するムガベの神通力がまだ衰えていないことを如実に示した。
ムガベ待望論が噴出しているのはアメリカだけではない。ようやく脱した「失われた10年」に再び逆戻りしようとしている日本、アイスランドを筆頭に多くの国で物価下落が始まったEUも、デフレ退治のための新しい武器を必要としている。アメリカドルだけに基軸通貨としての役割を与えるプレトンウッズ体制が機能しなくなったいま、通貨に新しい価値の裏づけを与える「ジンバブエドル本位制」の構築が現実味を帯び始めているのだ。
2009/05/10
若返りスキンケア、効能試験合格は「ゼロ」
日本スキンケア協会が実施する若返りスキンケア商品の効能試験、SKTの申請・合格件数が08年度も「0」だったことが明らかになった。4年間にわたり続く「ゼロ行進」に、協会関係者は首をかしげている。
化粧品業界では多くの業者が若返り効果を標榜する商品を販売しており、新聞折り込みのチラシやインターネットに使用前、使用後の写真を掲載。「しわ、たるみ、毛穴、しみ、くまがきれいに消えた」「65歳からまるで20代に。1週間でみるみる若返った」「若い恋人ができて人生を謳歌している」といった宣伝を展開しているが、消費者からは他の商品と効能の比較ができないためわかりにくいとの声が上がっていた。
こうした声に応えるかたちで、日本スキンケア協会がSKT(Sugai Kin Test)と呼ばれる効能試験のしくみを整えたのは05年のこと。無名のモデルや主婦ではなく、女優の菅井きんさんを被験者に起用し、商品の効能を厳密に測定する方法だ。若いころから日本を代表する老け顔女優の座に君臨してきた菅井さんを若返らせることができれば宣伝効果は絶大で、業者からの申し込みが殺到するとみられていたが、これまで1件の問い合わせすらないという。
ある業者の関係者は匿名を条件に「菅井さんが当社の深海バイオコラーゲンカプセルを1日3錠飲めば、20代に間違えられるようになるのは確実だが、女優の仕事を失わせるのは忍びないので」と釈明する。しかし菅井さんは05年のSKT制度の開始時に「女優生命を賭ける」と明言しており、代表作・必殺仕事人のプロデューサーも、新たなストーリー展開も考えられるとして菅井さんの大幅な若返りに期待感を示す。若返りを妨げる要素はなく、業者がなにを懸念しているのかは謎だ。
なお、別の業者はやはり匿名を条件に、「まずはアドビのPhotoshopクリエーター能力試験に全力を集中したい」と説明し、SKT受験に慎重な姿勢を示している。
2009/05/05
Report 憲法はいま
9条だけじゃない、改憲の焦点
日本経済調査センターが憲法記念日にあわせ、「憲法問題についての提言書」を発表した。国民の関心が高い9条の改正の是非を棚上げする一方で、25条1項を改正すべきとの方向を明確に打ち出したことが注目を集めている。
憲法25条1項は、いわゆる「生存権」についての規定。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定め、一定以下の貧困に甘んじている人がいる場合、政府に是正を求めている。この条文が想定しているのは、最低限度の生活に甘んじている人だけだった。
経済危機で日本の行く末に暗雲が垂れこめるなか、経済学者や労組、非正規労働者の間に急速に広がっているのは、ミドルクラスや毎晩ゴージャスライフを享受している階層を、野放しにしておいていいのかという疑問だ。
「最低限度以下の生活を強いられている人が急増しているのは、少数の人間が最低限度よりも著しく高い生活を享受して、富の不均衡が拡大しているからではないか? 国民すべてが等しく最低限度ちょうどの生活を受け入れれば、少なくとも最低限度以下の人はいなくなるはずだ」(NPO支援の和ネットワーク理事長 衣川誠氏)
日本経済調査センターの提言書にも、このような見方を背景に、25条1項の具体的な改正案が盛り込まれた。
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む義務を有する」
現行条文の「権利」を「義務」に置き換えただけだが、意味は根本的に違ってくる。最低限度以下の生活をしている国民には自助努力を、最低限度以上にいる国民には最低限度までの引き下げを求める内容だ。憲法学者の間では、この条文に照らせば自宅でのバスローブ着用はもちろんのこと、コッカースパニエルの飼育や、夕食の「もう一品」も違憲になるとの見方が有力だ。
年2兆円――日本の生活保護費給付総額は今年度、大台を突破する見通しだ。景気振興策の大盤振る舞いで財政赤字は記録的な水準に達している。「最低数年のうちに国家財政の破綻が現実味を帯びてくる。唯一の回避策は、みんなが最低限度の生活で我慢すること」と、提言書の起草作業にかかわった京都大学教授の山崎重雄氏は説明する。
まったく違う角度から25条1項の改正に賛成するのは、気象変動予測協会の天野隆上級研究員。「中流階級以上はエネルギー効率の高い技術を導入して地球にやさしい生活をしたつもりになっているが、そういう技術がエネルギー消費の免罪符になっている。CO2削減のためには、新しいテクノロジーよりも最低限度の生活のほうが有効だろう」
一方で、改憲に反対する声も根強い。25条1項改正のためには、このような声をくみ上げたうえでコンセンサスを形成すること前提条件となりそうだ。
「最低限度の生活を国民が広く共有するなら構わないが、健康な生活を強いられるのは19条の保障する思想の自由と矛盾することになり、到底受け入れられない」(不健康生活にこだわる全国ネットワーク代表、蓑田隆氏)
「『ぶんかてき』ってどーいう意味なんだよ? おいっ」(巨大リアウィング装着ハイエースオーナー連絡協議会事務局長、成瀬三郎氏)
2009/05/03
限界集落が安全性をアピール
過疎化が進み、限界集落の典型と言われた岩手県曽下村が「日本一安全な村」として巻き返しを図っている。国内有数の人口密度の低さを逆手にとり、健康への関心の高い家族に移住を呼びかけていく方針だ。
佐田徳次郎村長によれば、曽下村で10人以上の人混みが観測されたのは1989年、佐田村長自身が初当選を果たしたさいの祝賀パーティーを村の中心部にある公民館で開いたのが最後。以来、村長選はほかに立候補者がいないため佐田氏の無投票当選が続いており、祝賀パーティーも開かれていない。
明治時代から1980年代中盤までは村立小中学校の合同運動会が、児童や生徒、教職員、父母だけでなく村民の多くが参加するコミュニティ最大の行事だったが、急速な高齢化で85年に小学校が、88年に中学校が廃校になり、運動会の歴史も途絶えた。
国の補助で82年から翌年にかけ、村の南側で土砂崩れ防止の地盤補強工事が行われたことも、人混みが減る一因となった。村で生まれ育った三上シゲさん(92)は「昔は強い雨が降るたびに、みんなで公民館に避難したのに」と当時を振り返る。
曽下村では渡り鳥の飛行ルートからはずれており、最寄りの国際空港まで車で3時間以上がかかる。村の北側に広がる広大な山林にはイノシシが生息しているが、撒き餌にタミフルを混ぜるなど対策は万全だ。
村役場が曽下村の安全性をホームページでアピールしたところ、東京都内の5人家族が移住を決意。30日に自家用車で村に到着した。出迎えた村長は「村をあげて歓迎します。どうか安心して暮らしてください」と、300メートル離れたところからハンドマイクのボリュームを最大にして呼びかけた。
2009/05/02
テレビの平面的描写、空間認識に影響
日本民間放送連盟が20代の男女4110人を対象に行った聞き取り調査で、人気ボーカルデュオ、コブクロに所属する2人のメンバーの身長がほぼ同じであることを、98%の人が知らないことが明らかになった。液晶やプラズマなど平面的なテレビの急激な増加が、若い世代の空間認識を歪めていることが浮き彫りになった。
コブクロはテレビに出演するさい、サングラスをかけている男性がカメラに寄り、もう一人が後ろに立つ。サングラスの男性のほうが背が高く見えるが、これは錯覚だ。奥行きのあるブラウン管テレビでは前後の位置関係が分かりやすく、2人の身長も正しく認識されるが、平面的な薄型テレビでは2人が左右に並んでいるように見えるため、誤認識につながりやすい。すべてのテレビがブラウン管を搭載していた昭和60年のオール阪神巨人についての設問で、正解率が87%だったのとは対照的だ。
アグネスラムさんのテレビ映像に魅力を感じた人の比率は3%と、昭和48年の調査時の87%を大きく下回った。テレビ業界の関係者の間では、平面的な表示装置に映し出されることで、凹凸に富んだグラマラスな姿態の魅力が大幅に削がれてしまったのが原因との見方が強まっている。
昭和40年代、一世を風靡した谷啓さんの定番ギャグ「ガチョーン」についての質問では、谷さんの手がブラウン管の外から奥に引き込まれるように見えたことを知っている人がほとんどいなかった。その一方で「『テレビをすぐ近くで見ていたら、谷さんに頭をつかまれて、危うくテレビの中に引っ張りこまれるところだった』と親に聞いたことがある」などと回答した人も4人いた。
テレビ評論家の小松川辰夫さんは「アナログ放送の停止が迫り、猛烈な勢いで平面テレビが増えている。奥行き表現が物理的に難しい平面テレビの特性を考えれば、ブラウン管のテレビに慣れ親しんだ世代も、遅かれ早かれ薄っぺらな描写方法に慣れなくてはいけないのだろう」と語る。ブラウン管の中央ラインから左に45度移動すれば、滝川クリステルが正対してくれる──そんな常識もアナログ時代の終焉とともに過去のものとなりそうだ。
2009/04/26
東北大学、英語名称を変更へ
国立大学法人東北大学(仙台市)は英語名称を「Tohogu University」に変更することを、22日に開催した役員会で正式決定した。文部科学省も認可する見通しで、早ければ来年以降、英文で発表される論文には新名称が記載される。
東北大学の英語名称については東北各県の住民や知事会などから、「Tohoku」は明治時代に新政府から押し付けられた発音であり、現地語に近い「Tohogu」に変更してほしいとの要望が寄せられていた。大学事務局が学内での発音状況を調査したところ、学部1年生では92%が「Tohoku」と発音していたのに対し、4年以上在籍している学生、院生、教職員は96%が「Tohogu」派。英語表記と発音の違いのために東北大教授が海外で開催された学会で入場を拒否されるトラブルも発生しており、学内でも見直しの機運が高まっていた。
固有名詞の変更としては、ミャンマー(旧ビルマ)、ムンバイ(旧ボンベイ)などの前例があり、最近ではグルジアもロシア語に近い読み方を嫌って、国際社会に英語風の「ジョージア」を採用するよう呼びかけている。現地語に近い発音は時代の流れだ。
国内の教育・研究機関では東北大のほかに名称見直しの動きは広がっていないが、名古屋大学だけは設立時から現地語を正確に反映した英語名称として「Nagoya Univiiiiaaasity」を採用している。
2009/04/25
Yシャツの透過性基準を策定へ
アパレルメーカーや紳士服量販店などで作る日本Yシャツ協議会は、Yシャツが透けて個人情報が漏えいする事件が相次いでいることに対応し、今年夏をめどに白いYシャツの透過性について業界ルールをまとめることを決めた。
この問題については、法務大臣の諮問機関である人権擁護推進審議会委員が先月、「Yシャツの下に何を着ているかは重要な個人情報であり、ランニングや派手な柄のTシャツを中に着ていることを職場で若い部下に嘲笑されるのは、人権侵害にあたる」との中間報告をまとめており、業界の出方が注目されていた。
業界ルール策定に先立ち、近くメーカー各社からは透過性を下げたYシャツが発売される見通し。「低透過性」のYシャツは生地の裏側に、税務署から届く封筒に似たランダムな模様が印刷され、「無透過性」の商品については、裏側に金属箔が貼り付けられることになりそうだ。
Yシャツ業界の動きを歓迎するのは、地方公務員の島原和夫さん(52)。
「3年前、家内が海外旅行でおみやげに買ってきた『我愛香港』のロゴ入りTシャツを肌着代わりに来て出勤したときの屈辱は一生忘れない。透過性の低いYシャツさえあれば、この連休に妻が買ってくるはずのインドの象の神様Tシャツでも不安なく出勤できそうだ」
2009/04/24
真夜中の人間模様
斉藤食材店
深夜1時、閉まりかけたシャッターの下をくぐるようにして、ジャージ姿の女が店に駆け込んできた。スタンドも下ろさずに横倒しにされた自転車の後輪が、店先で回り続けている。
「すいません。すぐ買って帰りますから」
肩で息をしている女に、店主の斉藤範明さんが優しく話しかけた。
「いいんだよ。納得できるものを、ゆっくり選びなよ」
紅潮した女の頬には、涙の跡が残っていた。とうに終電の時間は過ぎている。寂しさに耐えられなくなり、泣きながら自転車を何キロも漕いできたのかもしれない。
10分後、女は両手で抱えるように、選んだ商品をレジ前の台に置いた。決心の強さに比例するような大きな音がした。タバスコ1ガロンボトル入り、6000円。通常の小瓶入りタバスコの60倍以上の量だ。
斉藤さんは代金を受け取ると、客の代わりに商品を抱え、自転車を起こし、買い物カゴにそっと入れた。
「帰り道、気をつけなよ。辛いことがあったら、またおいで」
涙の跡はそのままに、女は笑顔を浮かべ、小さな声で「ウン」と答えてから、勢いよくペダルを漕いで夜の街へと消えていった。
* * *
斉藤食材店――業務用食材を専門に取り扱うこの店を斉藤さんの父が開いたのは、昭和42年のことだった。当時、このあたりには中小、零細の工場が途切れることなく軒を並べていた。たくさんの労働者が住み込みで働いていて、彼らが空腹を満たす安い食堂もたくさんあり、店は繁盛した。店舗の奧にある広さ4畳半程度の事務室の壁では、一緒にハワイを訪れた斉藤さんの一家4人と3人の従業員の色あせた写真が、額縁に収まっている。
7人が最初で最後の社員海外旅行に出かけた昭和54年が、斉藤食材店の絶頂期だった。その後、近所の工場は市が郊外に造成した工業団地に次々と移転していき、跡地には「管理地」の看板と鉄パイプの囲いだけが残された。ちょうど同じころ、東京の大手がこのまちに進出して、斉藤食材店の仕入れ値よりも安い販売価格を武器に長年の得意先を奪っていった。
年号が平成に代わるころ、2代目として商売を継いだ斉藤さんは「業務用食材」の看板の上に、同じ大きさで「個人客歓迎」という看板を付け足した。空き地を埋めるように建てられたマンションは共働き世帯が多く、買い物は週に1〜2回。斉藤食材店は大量の食材を安く買える店として息を吹き返した。ヨーロッパやアジアの業務用食材も仕入れて、「玄人の店」の雰囲気を強調したことも、グルメを自認する若い夫婦に受けた。高度経済成長期のような大儲けはできなかったが、2人の息子を育て、大学を卒業させるのに十分な収入を得ることはできた。
* * *
忙しいが満ち足りた生活は、突然終わった。
「年金もあるしね。この土地を売れば、贅沢はできないかもしれないが、おまえの故郷の徳島で小さな家でも買って、のんびり暮らせるんじゃないか。そう切り出そうかどうか、迷っていたときだったんですよ。言えば喜んでくれたのかなぁ」と、斉藤さんは唇をかむ。
家庭でも店でも斉藤さんをよく支えてくれた妻は、3年前に心筋梗塞に倒れ、59歳で帰らぬ人となった。店と、予定の描けない未来だけが斉藤さんに残された。
店をやっていてもしょうがない。かといって、店を畳んでもやることがない。抜け殻のようになりながら、惰性で店を営んでいた斉藤さんはある日、いつのまにか客層が変わっていることに気がついた。それまでの主婦や飲食店の関係者に代わって、若い女が主流になっていた。大口の食材とは縁のなさそうな人たちばかりだ。しかも、その多くは沈痛な表情を浮かべながら店に入ってくる。品定めをしながら、突然しゃがみこんで嗚咽を漏らしはじめる人もいた。それなのに、大きな商品を抱えてレジに並ぶときの表情は晴れ晴れとしていた。
長い間、客に明るく挨拶はしても、自分から客の私生活には足を踏み入れないという主義を守ってきた斉藤さんだが、小柄な女性が冷凍餃子500個入り1箱(1万2500円)を購入したときには、質問をどうにも我慢できなかった。
「なにがどうなっているんですか?」
「ブログで読んだんです」
「ブログってなんなの?」
* * *
「セイ子のカフェオレ」と名付けられたブログで、ブームの火付け役となったその書き込みをいまも読むことができる。
その直前までブログは幸せの言葉で満たされていた。少女のころから描いていた理想にぴったりあてはまる男との出会い、初めてのデート、男からのクリスマス・プレゼント、旅行、同棲。「おいしいね」の一言が聞きたくて、手作りのスウィーツによく合うカナダ産のメープルシロップを探し求めて、店から店へと訪ね歩いたこと。高級輸入食品の専門店でようやく見つけたこと。小走りしてレジに並ぶと、翌日の夜にスウィーツを食べてくれるはずの男がいたこと。自分がクリスマスにもらったのと同じヴィトンのバッグを持った女の腰に、男が腕を回していたこと……。
「ああ、もう全部終わりだって。恐怖とか恨みとか、なんにも感じなかった。ただ死にたいって、それだけ。どこをどう歩いたのかぜんぜん覚えてないけど、気がついたら業務用の食材を売っている店の前にいた。わたしは子どものころから、強いピーナッツアレルギーで、気がつかずに友だちの家でたくさんピーナッツバター食べて、ほんとに死にかけたことがあったから、1キロとか2キロとか、一度にたくさんのピーナッツバターを食べれば、簡単に死ねるってわかってた。
「店に入ったら、寂しそうなおじさんがひとりで店番してた。ピーナッツバターの大きいのありますかって聞いたら、奧の棚の一番上にありますっていうから、そっちに歩いていったら、隣の棚に私がついさっきまで探してたのと同じメープルシロップがあったんだ。わたしが必死になって探してたのは食卓のしょう油瓶くらいのサイズだったけど、そこには同じメーカーの5リットルペットボトル入りのメープルシロップが、何本も並んでた。
「笑っちゃった。メープルシロップって、なんとなく小ビンのイメージがあるから、意表を突かれたって感じ。あんなに探してもなかなか見つからなかったものが、こんなに堂々と並んでいるのも意外だった。見回したら、青のりとか、納豆のタレとか、七味とうがらしとか、粒マスタードとか、全部とんでもないサイズだった。あたりまえだよね。業務用なんだから。
「そしたらなんだか、自分がいまどういう場所にいるのか、ちょっと冷静に考えられるようになったんだ。男には裏切られたけど、たくさんの友だちや家族や同僚はわたしに優しいし、わたしの価値が変わったわけでもないんだって。理想の男だと思ったけど、わたしの一生をめちゃくちゃにさせるほどの価値はないんだ。
「メープルシロップを5リットル買って帰った。テーブルの真中において眺めているだけで、甘くて香ばしい液体が、ココロに開いた大きな穴を満たしてくれるような気がしたんだ」
* * *
このブログに共感を覚えた多くの読者がコメントを寄せた。複数の掲示板やニュースサイトでも取り上げられ、ネットの世界で斉藤食材店は「大ロットの食材で心を癒せる聖地」として有名になり、心に痛手を負った女たちが集まるようになった。
客層の変化の理由を知らされた斉藤さんだが、営業時間を午後3時から深夜3時までに変更した以外は、とくに商売の方法を変えたわけではない。客のほうから相談されなければ、悩みの理由を尋ねたりはしない。
だが、店に入ってきたときの伏目がちな様子が出会ったころの妻に似ていたからなのか、3週間ほど前から何度か姿を見せている長い髪の女が再びやってきた夜、斉藤さんは少しルールを変えた。醤油コーナーに立ち尽くし、小刻みに肩をふるわせる女の背中に向かって話しかけた。
「たしか、先週の金曜も来てたよね」
急な問いかけに一瞬驚いた女は、その拍子に涙の堰が決壊したかのように、その場にへたりこんで泣き出した。斉藤さんは、なにも言わずしゃがみ込み、女が泣くのを見守った。10分後、しゃくりあげながら女が涙の理由を打ち上け始めた。
「その人、会社の上司だったんです。転勤で2年前に新潟に行っちゃったけど、金曜の夜は戻ってきてくれて、私がご飯を作って食べさせてあげたのに。『新潟で好きな人できたから、もう終わりにしよう』なんて。高血圧を気にしてたから、できるだけ薄味にしてあげたのに。こんな風にふられるってわかっていたら……」
斉藤さんは何も言わず、女の目の前に陳列されている「業務用濃口醤油」の一斗缶を指さした。
午前2時。さきほどまでの泣き顔が嘘のように、笑顔さえ浮かべた女は、一斗缶を3つ車に積み込んだ。斉藤さんに向かって手を振ってから、黄色い軽自動車に乗り込み、エンジンをかけた。
煮物も照り焼きも炒め物も、これからはたっぷりと醤油をかければいい。寂しさに押しつぶされそうになる長い夜も、あの抱き枕があれば大丈夫だ。そして、いつかは濃口好みの新しい恋人を見つけてほしい。そう願いながら、斉藤さんは赤いテールランプと、車に入りきらずに窓から少しはみ出た、実物大ビンチョウマグロ型醤油チュルチュルの頭部が夜の街へと消えていくのを見送った。
2009/04/20
パイロット急死、乗客が操縦し着陸
アメリカのフロリダ州で14日、小型飛行機を操縦していたパイロットが急死したが、乗客4人のうち1人が管制塔からの指示に従って無事に飛行機を着陸させた。乗客にケガはなかった。
現地のマスメディアが伝えたところによると、乗客から無線で通報を受けた管制塔はすぐに機上で体力検査と視力検査を行うよう指示。合格した1人が操縦士候補に選ばれ、無線を通じて航空力学、エンジン・機体構造、航空関連法規、気象学などの集中講義が行われた。ほかの乗客がノートへの記入を手伝ったり、肩をもんだりして協力したこともあり、学科試験では辛うじて合格点を獲得した。
その後、地上から教官が双眼鏡で見守るなか実地訓練が行われ、上昇、下降、旋回、タッチ・アンド・ゴー、宙返りなどの技術を取得した。実技試験でも見事合格。晴れてパイロットとして認められた乗客が操縦桿を握り、無事に着陸した。
この乗客は「実技は思ったより簡単だったが、航空力学の講義がとても難しかった。テストであと4点足りなければ、パイロットの資格が取れないまま我々全員が死んでいたはず」と語り、胸をなでおろした。
2009/04/14
超低速回転型増設ディスクを発売
パソコン周辺機器大手のバッファローは13日、超低速回転型外付け増設ディスクを発売した。アナログ・オーディオ世代に狙いを絞った仕様で、新しいニーズを開拓したいとしている。
今回新発売されたHD-ANG1は、基幹部品となるドライブ装置に毎分33 1/3回転または45回転(切替可)の特注型を採用している。通常型の約200分の1の回転数しかなく、その分データの読み出しは遅いが、オーディオ再生用には十分。あえて0.1〜0.2%の回転ムラを残すことで、従来のデジタルオーディオ機器にはなかったマニア好みのテイストを加えた。
再生時には自動モードかマニュアルモードを選択する。通常なら精密サーボモーターで制御しているディスク装置内部のアームを、マニュアルモードではユーザーが指先でつまみ、目的の音楽ファイルが記録されているトラックを狙って落とす。慣れるまでに時間はかかるが、聞きたい曲とその前の曲の中間にある無音データが記録された部分をヘッドが見事とらえたときの喜びは格別だ。ただし、このモードを選ぶとすべてのファイルの読み出しが終わったあともアームが元の場所に自動復帰せず、ディスクが回転を続けるので注意が必要。
高齢者や熟年世代の間ではアナログレコードが見直されているものの、すでに所有するほとんどの音源がCDやMP3データなどデジタル形式になっている人も多い。デジタル音源をアナログに近い響きで聞かせるHD-ANG1の登場で、デジタルからアナログへの回帰が広がりそうだ。
なお今月末には、静電気防止剤と同じ香料をスプレー噴射し、1970年代の雰囲気をそのまま蘇らせる専用のアロマキットも発売される予定となっている。
2009/04/13
